こんにちは、経営の違和感や迷いを解決するエグゼクティブコーチの、野中(のなさん)です。今回の「トレンド予測インタビュー」企画は、「外部人材活用」をテーマにお届けします。労働生産人口の減少や働き方の多様化が進む中、多くの企業が人材不足という深刻な課題に直面しています。正社員採用だけでは必要な人材を確保できない時代に、副業・フリーランス人材の活用は企業の成長戦略として欠かせない選択肢となりつつあります。一方で、外部人材活用に踏み切れずにいる企業も多く、まだまだ発展途上の市場でもあります。今回お話を伺ったのは、2017年にエニィクルー株式会社を創業し、外部人材活用プラットフォーム「Anycrew」を運営する赤羽貢さん。Yahoo! JAPANで全社戦略の立案・推進を担った後、スタートアップ役員を経て外部人材活用の最前線で事業を展開する経営者です。13回のピボットを重ねながら、現在は副業・フリーランス人材と企業とのマッチングで業界をリードしています。読み手の方には「外部人材活用の本質的価値と成功の秘訣」「AI時代における人材戦略の新しい方向性」という新しい視点を提供できれば幸いです。この対談でわかること✅ 外部人材活用業界の現状とエージェント型サービスの増加理由✅ 2018年厚労省モデル就業規則改定が業界に与えた決定的影響✅ コロナ禍がもたらしたリモートワーク普及と外部人材活用の加速✅ 成功企業と検討止まり企業の考え方・経営者マインドの違い✅ 業務委託から正社員転換という新しいトレンドの可能性✅ AI時代における人材業界の効率化と経営者が取るべき姿勢✅ エージェント型サービス拡大の余地と人材側のメリット✅ 外部人材活用を成功させる柔軟な思考と組織設計の重要性第8回ゲスト:赤羽貢さんエニィクルー株式会社 創業者・CEO 赤羽貢商社で新規事業、Yahoo! JAPANで全社プロジェクトや決済事業を推進し、全社事業推進部部長として全社戦略の立案・推進。エムアウトに参画後「スキル&能力の見える化」サービスを展開する事業会社を新設し、一年で上場企業に事業譲渡。2017年8月エニィクルー創業。現在も新規事業コンサルティングをメインに複数社を支援。スリーセンテンス要約外部人材活用業界は2018年の厚労省モデル就業規則改定を転換点として本格的な成長期を迎え、コロナ禍によるリモートワーク普及がさらに市場拡大を加速させている。成功企業と検討止まり企業の差は「柔軟な考え方」と「成果へのこだわり」にあり、正社員採用にこだわりすぎず外部人材を戦略的に活用する企業が競争優位を築いている。今後は業務委託から正社員転換支援やAI活用による効率化が新たなトレンドとなり、エージェント型サービスの拡大余地も大きく、人材活用の境界線が曖昧になる時代が到来する。外部人材活用業界の現状と構造分析エージェント型とセルフサービス型の二極化━━━━(のなさん) まず、赤羽さんが現在どのような事業をされているか教えていただけますか?赤羽: エニィクルー株式会社で「Anycrew」という外部人材活用プラットフォームを運営しています。副業やフリーランスの方々と、主にスタートアップ企業とのマッチングを行っています。サービスは大きく2つの軸があります。1つ目は、社内のスタッフがエージェントとして動く形式です。クライアント様からご相談いただいた場合に、データや面談を組み合わせて最適な人材をご提案し、参画後も中長期的に伴走支援させていただいています。2つ目は、エージェントが関与しない「セルフサービス」です。企業が直接プラットフォームを利用できる形で、常時一定数の人材を活用したい企業様や、自社でリクルーティングを行いたい企業様に使っていただいています。エージェント型サービスの増加傾向━━━━(のなさん) エージェント型のサービスは最近増えているのでしょうか?赤羽: エージェント型は増加傾向にあります。マッチングプラットフォーム型もありますが、工数がかかったり難易度が高い場合もあるため、エージェントが間に入る方が有効なケースが多いんです。経営層が本当に求める人材と、実際にマッチングプラットフォーム上で見つかる人材の間にはギャップがあることが多く、そこを埋めるためにエージェントの存在が重要になってきています。スタートアップでの外部人材活用の標準化━━━━(のなさん) スタートアップでは外部人材活用が当たり前になっているのでしょうか?赤羽: スタートアップでは外部人材活用が当たり前になっています。創業初期の企業では資金がないため、当初は友人や知人に頼むケースが多いのですが、成長と共に意識的に外部人材を活用する企業が増えています。昔は比較的まずは友人知人に頼み込むみたいな、企業側も人材側も”お付き合い”の一環でやっているケースが多かったと思います。しかし最近では、我々のサービス等も出てきているので、より最適な人材を少しでも早く活用して成長したいという企業が、最初から積極的にプロフェッショナルな人材を活用するスタイルが、かなりメジャーになってきています。━━━━(のなさん) スタートアップ以外での外部人材活用はいかがですか?赤羽: ベンチャー・スタートアップ企業での利用が多いものの、地方の中小企業や大企業でも、政府の後押しもあり、徐々に進んでいます。ZoomやSlackなどのツール普及により、リモートで会わなくても仕事がしやすくなったことも大きな要因です。外部人材活用業界の歴史と2018年の政策転換点2010年代初期の限定的な活用━━━━(のなさん) 過去5年10年でこの業界はどう変遷してきたのでしょうか?赤羽: 2010年頃には、いわゆる「顧問サービス」等があり、60代70代のシニアを活用してアドバイザーや営業支援を行うモデルがありました。また、エンジニアは比較的早い段階からフリーランスとして活動していました。エンジニアの方やクリエイティブな職種の方々は、比較的手に職というところがあって、企業に勤めるという事が必ずしもなじまない方や一部自由にやりたいという方々は、比較的早い段階からフリーランスでいろんな企業から個人ベースで依頼を受けてやっていました。2018年厚労省モデル就業規則改定の決定的影響━━━━(のなさん) 業界の大きな転換点はいつ頃でしたか?赤羽: 2017年18年頃から大きな変化があり、2018年に厚生労働省がモデル就業規則を改定し、副業・兼業を促進するガイドラインを公表したことが最大のポイントです。それまでのモデル就業規則には「他社の業務には従事しないこと」という規定がありましたが、これが削除され、副業・兼業を促進する内容に変更されました。同時に副業兼業促進ガイドラインも策定され、企業が副業を認めているかどうかを公表するよう明確に示されました。政府の政策背景━━━━(のなさん) この政府の動きの背景には何があったのでしょうか?赤羽: 生産性向上、イノベーション、労働力不足、育成支援、所得増加など複数の背景があります。労働生産人口の減少や少子化という構造的課題に対し、政府は副業・兼業を通じてイノベーションを促進し、働く側の所得増加も図りたいと考えました。年収を50万100万伸ばすのは困難ですが、業務委託で月10万円稼ぐことは比較的実現可能だからです。2020年、コロナ以降による加速的変化━━━━(のなさん) コロナ禍はどのような影響を与えましたか?赤羽: コロナ禍でリモートワークの普及や都市部からの脱却が加速し、外部人材活用を大きく後押ししました。大手IT企業を中心にリモートワークが進み、通勤時間がなくなることで可処分時間が増えました。結局通勤に1時間とか長い方で2時間弱かけていたのが、1日4時間とか、少なくとも数時間はプラスで時間ができました。同時に、企業側もオンラインでの業務委託に抵抗がなくなり、両方向での変化が外部人材活用の普及を加速させました。支援サービス事業者の登場━━━━(のなさん) 支援側やプラットフォーム側のサービスはいつ頃から出始めたのでしょうか?赤羽: IT人材系の顧問サービスやクラウドソーシングサービスが先行して存在していました。大きなポイントとしては、先ほどの両方向における大きな変化により、本来だったらあまり外に出てこなかった、会社にとって”本当に重要な業務”が外出しされるようになって来た事ですね。事業戦略を作る、新規事業を立案して実行に移していく、マーケティングの戦略等の上流から現場のタスクまで含めて。そういうかなり会社にとってコアな機能も一部、その得意な方が外部で活用できるんだったら進めていっていいよねという流れが変わってきています。企業側の理解度と市場開拓の現実人材供給が先行する市場構造━━━━(のなさん) 外部人材を活用したい企業と、人材側の増加はどちらが先行したのでしょうか?赤羽: 人材の方がマーケットとしては先に増えていきました。大変だったところとして、企業に対して啓蒙をしていく、ニーズを掘り起こしていくという方が、やっぱりここ数年間は大変でした。人材の方は、できるよねとか、時間もあるよねと、やりたいという方は結構たくさんいらっしゃって、皆さん手を挙げていただけるようになりました。一方で、企業側としては、従来はなんとか自社でやろうとしていた業務について「この主要な機能や重要な業務を外部の人材にお願いしちゃっていいんだっけ?」という議論は、いろいろな企業の中でもまだまだ賛否両論があるところです。企業の理解度:まだ2合目3合目レベル━━━━(のなさん) 業界全体の理解度はどの程度でしょうか?赤羽: 企業の啓蒙や理解という観点では、まだ2合目3合目レベルだと思います。IT系やスタートアップ企業では当然の選択肢として活用されています。比較的IT系であるとかスタートアップと言われるような企業の中では、もう普通のソリューションになっていると言っても良いかと思います。一方で大企業や中小企業では理解が浅い場合もあります。クラウド系のタスクやエンジニア、デザイナーなどは先行して外部委託されていましたが、主要な機能や業務を外部委託することには、まだ慎重になる企業が多いのが現状です。外部委託のハードルと段階的変化━━━━(のなさん) どのような業務から外部委託が始まるのでしょうか?赤羽: 会社にとって生命線だよねと思っているような業務に関しては、一定の懸念やリスクがあるため、慎重になる企業が多いです。一方で、人材採用が難しくなっている状況や、市場の変化が激しい状況においては、外部人材を短期間から活用することが有効な手段になります。「外部人材活用」における成功と失敗の分岐点とは?成功企業の特徴:柔軟性と成果重視━━━━(のなさん) 外部人材活用に成功している企業の特徴は何でしょうか?赤羽: 最も重要なのは「柔軟な考え方」です。従来の形にこだわるのではなく、成果にこだわることが大切です。例えば、地方の中小企業でも、割と「外の人間を使うのか」みたいな議論になることがあります。でも普通にフラットに見てみると、契約社員の方が重要な戦力になっていたりとか、派遣の社員の方が活躍していたりします。会社の中に「正社員」という人たち以外が参加してもらって会社を支えているという構図は普通に昔から発生しています。成長していきたいという観点で言うと、どうやったら最適な人材配置ができるか、生産性や成長の角度を引き上げられるかという観点に立ったときに、従来の形にこだわるのではなく成果にこだわっていく。その手法は柔軟に考えていいはずです。正社員採用へのこだわりを手放す赤羽: 正社員採用にこだわりすぎないことも重要なポイントです。正社員が一番いいよねということはいろんな観点で確かに安心できるとか、200%貢献してもらえるところがあるので良い面はもちろんあります。でも、それに必ずしもこだわる必要はない。正社員じゃなくても別にできるかもねという考え方ができると、ソリューションの幅がぐっと広がります。検討止まり企業の課題:条件への固執━━━━(のなさん) 一方で、検討止まりになる企業の特徴はありますか?赤羽: 自社の条件にこだわりすぎる企業は検討止まりになりやすいです。例えば、人材にはこれぐらいの時間を働いてもらいたいとか、出社はこれぐらいしてもらえないと困るといった条件です。自社流を、思い込みも含めてなかなか少しでも崩せない企業の場合、そもそも求める条件が必要以上に厳しくなってしまい、そこに対してマッチする人材が多くないというのもあります。結果として、本来であれば十分外部人材を活用して成長速度や角度が引き上がるようなケースにおいても、あまりマッチしにくいよねという結論になることが時々あります。体制不備による足踏み赤羽: 業務委託や副業人材を受け入れるための体制が整っていない企業も、検討が進まない傾向があります。大企業ではプロジェクト的に取り組んでいるところもありますが、中小企業では足踏みをしているところも多いです。一方で、経営者が代わり、古い考え方を捨てて積極的に取り組む企業もあります。本当に困っているところになってくると、もう背に腹は代えられず、ソリューションとして選択せざるを得ないという状況で意思決定をされるケースもあります。AI時代の外部人材活用のトレンド予測トレンド予測1:業務委託から正社員転換の新トレンド━━━━(のなさん) 今後注目すべき動きはありますか?赤羽: 業務委託から正社員への転換を支援することが、今後広がっていくと考えています。世の中的にはまだ少ないですが、人材採用が激化している状況では有効な手段になります。大きな全体の潮流としては、人材の採用がより激化している、人材戦争と言われるような状況になっています。スタートアップや中小企業では、正社員採用市場で大企業やメガベンチャーに勝てないという状況がかなり明確になってきています。だからこそ、正社員転職市場での人材プールを狙うのではない考え方が必要になります。具体的には、「いまいまは、別の会社で働いていて転職意向は薄いけど、副業もしたいし、ゆくゆくは別の会社も」という層を狙うというのが中小企業やスタートアップ企業においては有効な戦略になります。そういう人材と繋がる選択肢を意識した場合、外部の業務委託人材との関わり方も変わってきます。お試し期間としての価値赤羽:例えば、Anycrewでは、CxOや経営幹部等において業務委託で参画して転職するご支援も多数手がけていますが、 従来数回の面接では判断が難しい部分も、数ヶ月一緒に働くことで見極めることが容易にできるため、非常に有効なソリューションだと思います。これは5名10名20名みたいなサイズの企業だと、従来のいきなりの転職でそのメンバーを上手く活用できないというのは本当に双方にとって不幸な結果しかありませんが、数ヶ月一緒にやっていると、動き方がマッチするかとか、カルチャーがフィットするかといったいろんな観点が確認できます。トレンド予測2:エージェント型サービスの拡大余地━━━━(のなさん) エージェント型の動きは今後も広がっていきますか?赤羽: 広がっていく余地は十分にあります。以前は人脈で採用するケースが多かったのですが、10名ぐらいになると限界が来ます。数年前まではリファラルで今までやってきましたというケースは本当に多かったです。そこはある程度信頼がお互いにあるので確実な手法ですが、大体それが10名程度になると頭打ちになり、「最近全然紹介してもらえない症候群」になります。人材側のメリット赤羽: 副業したい人にとっても、フリーランス新法などの法整備が進んでいるものの、情報格差があるため、エージェントがサポートすることで安心して働ける環境を提供できます。例えば条件交渉で、3ヶ月前から参画してやってる業務や役割も高度になってきているので、ちょっと金額を相談したいという時に、我々が適切に単価交渉をサポートしていくということは、日々やっています。契約書の作成や単価等の条件交渉、トラブル対応などを代行してもらえるメリットも大きいです。トレンド予測3:AI活用による人材業界の効率化━━━━(のなさん) AIの活用はどう進んでいますか?赤羽: 人材業界は労働集約型ですが、AIの活用が進み、職務経歴書の作成や候補者のリストアップ、提案文の作成などがAIによって代替されていくと考えています。現状既にAIの活用という観点で言うと、かなりのプロセスがAIによって代替されていくだろうなというところは、かなり強いトレンドになってると思います。経営者の対応姿勢━━━━(のなさん) 経営者側として、このトレンドをどう捉えておくべきか?赤羽: 工数をかけずに人材を採用するために、AIなどの新しいテクノロジーを積極的に活用していくべきです。先行投資的に最初はちょっと眉唾なケースもあると思いますけれども、新しいサービスが出てきた際に、かなり早い段階で、とにかく実際に使って見て、自社にとっての具体的な活用方法を見つけ出していくといいと思います。ここが遅れてしまうと、人材の活用全体において後手後手に回りやすくなります。ちょっとぶっ飛んだ「AI予測シナリオ」への専門家見解━━━━(のなさん) AIが提示した外部人材活用の未来予測について、それぞれ詳しくお聞かせください。(ちょっとぶっ飛んだ案を3つ出してもらいました)シナリオ1:「完全自動マッチング時代の到来」━━━━(のなさん) まず1つ目の「完全自動マッチング」について。AIが企業の業務内容、文化、求めるスキルを瞬時に分析し、最適な外部人材を自動選定する世界です。赤羽: 大きな方向性としてはあり得ると思います。結局ある程度のデータ量の蓄積によっては、近いところには到達し得るのではないかなと思います。ただ、例えば経営陣の中で代表の方からご相談をいただき話がどんどん進んだものの、実は代表の方がもう少し現場の意見を重視されていて、代表の方は全然OKだったけれど実際現場の方からはNGだったみたいなケースもあったりします。そういう予測がなかなか難しいケースは当然発生するので、全部が全部というわけではないと思います。我々も今のサービスでも、最短のケースで数日で参画が決定するみたいなところは実現できるケースがあります。基本的には工数がだんだん掛からなくなっていくことによる時短は絶対間違いないでしょう。昔、一、二週間かかってたのが数日で採用できるぐらいのスパンは全然あり得ると思います。シナリオ2:「リアルタイムスキル可視化社会」━━━━(のなさん) 2つ目の「リアルタイムスキル可視化社会」について。プロジェクトベースでの働き方が主流となり、正社員という概念が希薄化する世界です。赤羽: 5年ぐらいのスパンで見たらそうなる可能性が高いと思います。採用活動が圧倒的に時間が短縮されるというのがまず一つあります。正社員とか業務委託、派遣の方、契約社員といった属性や契約の形態みたいなことはかなり希薄になっていくという動きは強くなると思います。より多くの人が自社の業務だけじゃないものを請け負っていたりするのも当たり前になったり、会社としてもそういう外部人材を活用する事が広がっていった結果、この人はどういう契約形態なんだっけ?ということを、気にしないみたいな世界観は全然あり得ると思います。シナリオ3:「組織境界の完全消失」━━━━(のなさん) 3つ目の「組織境界の完全消失」について。企業の内部・外部の区別がなくなり、目的に応じて最適なメンバーが自動的に集結する世界です。赤羽: 人材配置を算出し、最適化するという部分でいくと、まず内部に関しては、より先行的に進んでいくんじゃないかなと思います。タレントマネジメントシステムなどHR業界にいろいろありますけど、ここが割と今までツールを活用していた対象が内部にとどまらず、それが外部の人材にも適用される可能性は十分あり得ると思います。我々もすごい意識してるところは、元々会社という概念の中での最適化は結構限界があるというところから、2017年に創業しています。一つ一つの会社の中での最適化ではなく、社会全体での最適化というのは多分必然的な動きになると思います。実際の働き方の変化例赤羽: Anycrewを通じて、同じ人材の方で複数の企業をご支援されているケースは本当に多数ありますが、A社、B社、C社をご支援している、自分の中のポートフォリオが3社ありますという動き方をしている方にしてみると、その方がフリーランスだったり、雇用されていてどこかの社員の方でも、その組織の壁というか組織の境界線というのは薄くなっていく可能性は全然あると思います。外部人材側から見える景色を把握する必要性マインドシェア獲得の重要性━━━━(のなさん) 働く側の視点で見ると、どのような変化が起きそうですか?赤羽: 社長とか経営側から見ると、いかに優秀な人材を自社に集めてくるか?という感覚が強いかと思いますが、働く側からすると、その正社員と副業の割合が90対10みたいな世界観ではなく、3社で働いていて、割合が30:30:40みたいなバランスの人が出てきてもおかしくありませんし、働き方自体も、いろいろな組織との関わりが当たり前になっていく可能性があります。その中で企業側は、人材のマインドシェアを獲得するために、働きがいや働きやすさはもちろん、例えば外部人材に対しても福利厚生的なものを考慮する必要があるかもしれません。やっぱりその事業であるとか、その会社、その組織、そのチームと一緒にやりたいなと思えることが重要だと思うので、いかにその人材のマインドシェアを取っていくかという観点は割と重要です。正社員と業務委託という関係性ではなく、パートナーとして選んでもらうという視点が重要になります。海外人材活用の拡大━━━━(のなさん) 海外人材の活用についてはいかがですか?赤羽: 海外人材を活用する企業も増えており、エージェントが国内外問わず最適な人材を提案できる環境が整ってきています。本当に我々Anycrewを海外から使っていただいてる人材の方々もいらっしゃいます。企業としては例えば創業間もないスタートアップでも、割と早くからアメリカに進出・上場を目指していきたいので、西海岸で、この辺の事業・領域に詳しい方を探したいみたいなご相談も普通にあり、ご提案や参画支援ができたりしています。赤羽さんから、経営者向け外部人材活用戦略の提言従来のやり方への固執からの脱却━━━━(のなさん) 最後に、経営者やビジネスリーダーに向けてメッセージをお願いします。赤羽: 人材をどう活用できるかは企業にとって本当に生命線になります。従来のやり方に固執せずに、柔軟に積極的にうまく活用していくことが大事だと思います。企業経営者として何にコミットするかが重要で、成長していこうというときに手法にこだわらず、いろんな手法があっていいと思います。外部人材の活用も積極的に取り入れていただくと、確実にトップラインが伸びたり、組織がより活性化したり、社内にはない知見を活用できるようになります。今まで外部に出せないと思っていた領域こそチャンス!━━━━(のなさん) 特に重要だと感じたのは、どの領域でしょうか?赤羽: 今まで外部に出せないと思っていた領域こそ、意外とチャンスがあると思います。新規事業や事業戦略やマーケティングなどのコア業務も、社内に得意な方がいなければ自前主義に拘らず、外部活用を検討する良い機会になると思います。人材採用が難しくなっている状況や、市場の変化が激しい状況では、外部人材を短期間から活用することが有効な手段になります。エージェント型の会社に「こういう相談ができないか」「こういう人材っていますか」といった相談をすることで、新しい可能性が開けるかもしれません。執筆者まとめ:外部人材活用業界の本質的変化への対応今回の対談では、外部人材活用業界の過去から未来までの変遷について、政策変化から実践的な成功要因まで多角的な洞察を得ることができました。重要なポイント:政策転換の決定的影響: 2018年厚労省モデル就業規則改定が業界発展の大きな転換点コロナ禍による加速: リモートワーク普及により企業・人材双方で外部活用の抵抗が大幅に減少成功企業の共通点: 柔軟な考え方と成果重視、正社員採用にこだわりすぎない姿勢新しいトレンド: 業務委託から正社員転換支援が採用難時代の有効な解決策AI時代の変化: 労働集約的業務のAI代替が進み、工数削減と精度向上を両立組織境界の曖昧化: 働く側の複数組織関与が当たり前になり、マインドシェア獲得が重要経営者にとって重要なのは、外部人材活用を単なる人手不足の解決策として捉えるのではなく、組織の柔軟性向上と競争優位構築のための戦略的手段として位置づけることです。赤羽さんが強調されたように、「今まで出せないと思っていた領域こそチャンス」という視点で、従来の常識にとらわれない人材活用を検討することが、AI時代の企業成長には不可欠になるでしょう。人材戦略も経営戦略も、固定観念からの脱却が成長の鍵赤羽さんが強調した「柔軟な考え方」「成果にこだわること」「今まで外部に出せないと思っていた領域こそチャンス」—これは人材活用だけでなく、経営全般に通じる本質的な姿勢です。「正社員採用にこだわる」から「最適な人材配置で成果を追求する」に変わったように、経営においても従来のやり方への固執ではなく、本質的な価値創造が求められています。NonaCanvasのエグゼクティブコーチングでは、採用難や組織課題に悩む経営者の思考を整理し、AI時代の変化を見据えた柔軟な経営判断をサポートします。外部の専門家と壁打ちしながら、あなたの経営の可能性を広げませんか?エグゼクティブコーチングサービスの詳細を見る┌───────────────────┐ \この記事を読んだ方におすすめ/ 🗣️ 経営を俯瞰して、軌道修正したい方 →コーチング体験セッションに申し込む 📚 その他のトレンド予測を見たい方 →『トレンド予測一覧』をチェック 💌 最新事例や記事を受け取りたい方 →メルマガに登録する└───────────────────┘参考リンクエニィクルー株式会社副業人材紹介エージェント | Anycrew今回のトレンド予測インタビューを振り返って━━━━(のなさん) 今日のインタビューを通じて、どのような気づきがありましたか?赤羽: 業界の流れを整理して説明する機会がなかなかなかったため、気づきがありました。企業向けには我々のお役に立てる観点、投資家向けには成長できる観点での話が多いので、業界の過去現在未来を俯瞰して整理し、改めて思い起こしてみる機会が貴重でした。━━━━(のなさん) 未来予測を言語化することのメリットはどう感じられましたか?赤羽さん: 未来に対しての想定みたいなものはまだ本当に幅が広いはずなので、そこに対して我々がやるべきこととかっていうところはもう少し考えられるなと感じました。野中さんとお話しする中で、幽体離脱するような感じというか、俯瞰して整理してもらえる感覚がありました。普段は、自分たちの目線で視座で見ることがほとんどなので、今後も鳥瞰図を作るというか、空や宇宙から見下ろすみたいな感覚で整理をした方が良いなと感じました。P.S.あとがき今回の赤羽貢さんとの対談を通じて、特に印象的だったのは、「どういう人材活用が自然になっていくのか」という視点から見えてきた、内部人材だけに盲目的にこだわることの不自然さでした。そして、外部人材と内部人材を分離して考えるのではなく、人材全体を俯瞰して考える重要性を改めて認識しました。どういうビジョンがあって、どういう社会を目指すから、どういう人に選ばれるのか、どういう人と一緒に成長していきたいのか。経営者の思想が組織や人材活用ににじみ出るからこそ、時代のトレンドや労働者から見える景色を無視して進むのは不自然だと感じました。赤羽さんの「柔軟な考え方」「成果にこだわること」という言葉は、外部人材活用に限らず、あらゆる経営判断において重要な示唆を与えてくれています。13回のピボットを重ねながらも現在の事業にたどり着いた経営者だからこその、深い洞察に触れることができた貴重な機会でした。関連記事未来予測インタビューシリーズ人材ビジネス業界の未来予測|AI時代の転職エージェントはどう変わる?野村真央氏インタビュー AI時代の人材業界で「20代は自動化、マネージャー層は人間必須」の二極化が進む理由と、採用内製化戦略について詳しく解説。AI×コーチング業界の2030年未来予測〜エグゼクティブコーチ野中祥平が語ってみた〜 AIとコーチングの補完関係と、効率と愛情を両立する新しい経営者成長モデルについて探究。経営者の組織づくり・働き方改革経営者としてコンフォートゾーンを抜け出すコツとは?~探索モードで新しい可能性を見つける方法~ 従業員ファーストな経営スタイル確立のための思考法と実践方法を解説。エグゼクティブコーチングサービスエグゼクティブコーチングサービスの詳細 組織マネジメントと働き方改革の戦略を経営者と一緒に探究できるサービス詳細。