こんにちは、エグゼクティブコーチの野中祥平(のなさん)です。今回のテーマは「停滞経営を突破する4つの切り口とは?」です。主に「ロジカル・エモーショナル・クリエイティブ・マジカル」の4つの切り口を紹介します。はじめに:ロジカルか、直感か、2つだとおもってませんか?ビジネスの世界では、どうしても「論理(ロジカル)こそ最重要!」という風潮が強いですよね。特に、経営塾やマーケティングセミナーに参加したり、いわゆる“数字至上主義”の職場で働いた経験がある方は「ロジカルに、合理的に」という考え方が染みついているかもしれません。でも実は、人間の思考や行動は“ロジカル”だけでは回りきりません。むしろ、「ロジカル vs. 直感(感覚)」みたいな単純な対立構造ではなく、ロジカル/エモーショナル/クリエイティブ/マジカルの4つの領域がそれぞれに意味を持ち、バランスよく活かされることで“大きな力”を発揮できると私は考えています。もし今、あなたが「ロジカルに頑張っているのにワクワクしない」「内側が疲弊して燃え尽きかけている」「自分のやりたかったことが見えなくなってきた」と感じているなら、ぜひこの4つの視点をヒントに“あなたらしい経営”を取り戻してみませんか?コーチングを受ける受けないにかかわらず、現状が停滞してるかどうかにかかわらず、経営者自身が最大限才能を発揮して生き生きワクワクできるコツがまとまってるので、ぜひ読んでみてください。スリーセンテンス要約経営者が陥りがちな「ロジカル100%」思考を脱し、エモーショナル・クリエイティブ・マジカルの合計4領域を意識して使うと、停滞や燃え尽き感を突破しやすい。ビジネスの表層で重要とされがちな論理や数字だけでは、人本来のワクワクや直感を生かしきれず、組織や自身の可能性を狭めてしまう。「4つの扉」をバランスよく開きながら、まずは小さく試してみることで、軽やかな経営スタイルと継続的なイノベーションが生まれていく。Q1. そもそも4つの思考「ロジカル・エモーショナル・クリエイティブ・マジカル」って、何が違うの?A:ざっくり言うと、意識の深さやアプローチの仕方が異なる4領域です。ロジカル(Logical) 一番表層の“論理的・合理的・分析的”な領域。 ビジネスの世界で重視されがち。「頭」で考えて→整理!な感じ。 意識がハッキリしている状態で、因数分解や計画立案など“考えて結論を出す”思考スタイル。 ビジネスの世界でもっとも重視されがち。エモーショナル(Emotional) 環境・人間などの外部からの刺激を受けて生じる“感情”に注目する領域。「心」で感じて→話す!感じ。 人間関係や環境からの刺激→自分がどう感じるか→そこからどう行動するか、といった“化学反応”的な部分。 共感力や情緒の動きを大事にすると、新しい気づきやモチベーションが生まれやすい。クリエイティブ(Creative) 内面寄りの“好奇心・遊び心・探究心”からアイデアを生み出す領域。 潜在的な欲求やワクワク→手足動かす!な感じ。 あえて制限や逆転の発想を楽しんで「こんな方法もアリかも?」と考えられる。 “思いつき”というより、潜在的な欲求やワクワクを上手に形にするスタイルとも言えます。マジカル(Magical) 説明しきれない身体感覚や直感が強く働く領域。 「なんとなくコレだ!」「気持ち悪い」的な不思議な感覚→流れに身を任せる感じ 。実はここに大きな“転機”や“チャンスの芽”が潜んでいることが多い。この図を見てわかるように、ロジカルに偏リすぎることは、人間本来の力を100%発揮できてない状態になります。顕在意識よりも潜在意識の方が強く、全部の扉を開いている経営者と、ロジカル以外の扉を閉じてる経営者ではどちらが生き生きワクワクして時代に合わせてアップデートし続けれるかは明白ですよね。当然、全部の4つの扉が開いている人のほうが強いし、楽しいし、軽い気持ちでいきいきできます。Q2. なぜ経営者は“ロジカル100%”に陥りやすい?A:ビジネスシーンでは「数字」「計画」「成果」といったわかりやすいものが重視されがちで、その多くが“ロジカル”な領域に該当するからですね。また、*一般的な経営塾やマーケティングセミナーでは“再現性の高いノウハウ”*を教えることが多く、そこでは合理性や論理性が優先される傾向があります。「ロジカルに数値目標を立て、計画を練りましょう」「この施策を再現すれば誰でも結果が出ます」「ムダを省き、因数分解して課題を取り除きましょう」こうした教えはもちろん大切です。しかし、それだけに集中しすぎると、内面の情熱や自分にしかない感性を置き去りにしてしまい、ワクワク感やモチベーションを失ったり、ついには“燃え尽き”てしまうこともあるのです。Q3. エモーショナルが大事になるのはどんな場面?A:実はほとんどの場面で大事です(笑)。経営には人間関係やチームワークが不可欠ですよね。ロジカルなデータやノウハウを活かすにしても、*「社員が納得しているか」「お客様は本当に喜んでいるか」「社内外でどんな感情が湧いているか」*を見ないまま突き進むと、後から大きな衝突やモヤモヤが生まれる可能性があります。社員のモチベーションを引き出すお客様のリアルな声を聞くビジネスパートナーとの関係性を深めるこうしたシーンでは「エモーショナル」の視点を忘れず、感情の機微に目を向けることが大切。モヤモヤや違和感にしっかり気づけると、トラブルの芽を早めに摘むこともできます。Q4. クリエイティブってただの“思いつき”とは違うの?A:クリエイティブは「楽しい」「やってみたい」などの遊び心から生まれることが多いですが、決して“根拠のない思いつき”だけではありません。 そこには、あなた自身の潜在意識に眠る「実は昔から気になっていた」「心が踊る条件を見つけた」というような深い欲求や興味が隠れていることが多いんです。むしろ、ロジカルやエモーショナルを超えたところで大胆なアイデアを形にする“力”がクリエイティブな領域には眠っています。ビジネスの世界でも、「制限があるからこそ面白い」「あえて逆にやってみよう」という発想でイノベーションが起きることがありますよね。それこそがクリエイティブ的な発想と言えます。Q5. マジカルって怪しそう…どんな感覚なの?A:“マジカル”と聞くと「スピリチュアルすぎるのでは?」と構える方もいるかもしれませんが、ここでは*「理屈は説明できないけど、体が反応している」「どうしても胸がザワザワする」*といった、直感や身体感覚に近い領域を指しています。なぜかわからないけれど「このタイミングで人に会うと良い気がする」「なんだか、このプロジェクトは絶対成功する気がする」「やりたくないけど無理やりやろうとしているとき特有の嫌な感覚がある…」こういうサインは、論理で説明するのは難しいけれど、あなたの潜在意識が“大切な情報”をキャッチしている合図かもしれません。ビジネスの成功者がよく「勝負どころで直感を信じた」と言うように、マジカルな感覚はあなたを大きく前進させるチャンスにつながることも多いのです。なんかチャンスに気づいたり、気になったら、その感覚に従って流されるように行動してみる、予定を無視して直感に従ってみるなどが次のヒントになることも多いです。Q6. 4つの領域はどう組み合わせればいいの?A:一般的には「まず数字を固めよう」となりがちですが、必ずしもロジカルを先行させなくていいんです。むしろ、ロジカルでガチガチに始めると心が萎えるタイプの経営者さんは、エモーショナルやクリエイティブ、マジカルを先に動かしてから、「最後に計画に落とし込むとき」「リスクを洗い出すとき」にロジカルを挟む、という流れがおすすめです。ロジカル(Logical)計画や数字管理、リスク対策で強みを発揮。ただし「前年対比◎%成長のために…」のように数字ありきで固めすぎると、元気が出ないタイプも。先にワクワクやアイデアを膨らませてから「じゃあ具体的にどうする?」とロジカルを使うのもアリ。エモーショナル(Emotional)人と話すなかでモチベーションがわき、感情の化学反応から新しい発想が生まれる領域。「この施策、お客様は本当に喜ぶかな?」と考えたり、仲間と感情を共有したりすることで、数字では拾えない大事な要素に気づく。クリエイティブ(Creative)「もっと面白いことはできないか?」など、遊び心や逆転の発想を生む。制約があるならそれを逆手にとってゲーム感覚で企画を考えると、既存の常識を超えるアイデアが出やすい。マジカル(Magical)ロジックでは説明しにくいけれど、「なんかここはピンとくる」「ゾワゾワする」という直感的なサインを大切にする領域。どこで勝負をかけるか、突然訪れるチャンスを見極めるときなどに大きな威力を発揮。いずれにせよ、この4つをごちゃ混ぜにして使うのが理想です。「最初はクリエイティブでアイデアを無制限に出す→エモーショナルにチームの気持ちを確認→最後にロジカルで落とし込む→途中でマジカルな直感を拾う」……など、扉を閉じずに場面ごとに柔軟に切り替えるのがポイント。本来、人それぞれ得意な領域や無意識に使える強みが違います。最初から「数字が苦手ならダメだ」などと決めつけず、どの領域をどう育てるか、そのバランスを意識してみてください。そうすると、“やるべきことをやった上で気づいたひらめきや直感を、高速で転がしていく”ような軽やかな経営がしやすくなりますよ。Q7. 組織文化や家庭環境と、この4領域って関係ある?A:大いにあります。たとえば初めて就職した会社が*「ロジカル全開の合理主義」*だったら、そこに長くいると「それ以外のアプローチは“甘え”だ」「数字こそ正義」と強く刷り込まれるかもしれません。一方、家族がめちゃくちゃ感情豊かでエモーショナルなら、「自分もつい感情表現がオーバーになる」といった影響があることも。「この会社では雑談すらムダ扱いされる…」「やたら仲間意識を強調する社風で、数字目標の話をすると冷たい目で見られる…」「とにかく“面白いかどうか”が最優先で、スケジュールは二の次…」こういう組織文化に合わないと、自分が持っている素質が活かせず苦しくなったり、逆に一部の領域が伸びすぎてほかの領域が萎縮してしまう場合もあります。なので、自分や自社の「4領域の強み・弱み」を知ったうえで、合う組織やチームを選んだり、必要があれば自分が組織のカルチャーを変えていく視点を持つといいでしょう。Q8. 「自分はロジカル派」「私はエモーショナル派」みたいに分断しないほうがいいの?A:はい、自分を1つのカテゴリーに押し込まないほうが、可能性が広がります。 たしかに人によって得意・不得意はありますが、人生のどこかで“眠っていた領域”が突然開花することってけっこうあるんですよね。ロジカル一辺倒だった人が、ある日チームの相談を親身に聞いてみたら「意外と人の話を聞くのが好き」と気づくエモーショナル全開だった人が、急に数値管理の面白さに目覚めて「ロジカルなマーケティング戦略」で成功するまったく直感とか興味なかったのに、ある瞬間から「このビジネスはイケる気がする!」とマジカルな感覚に突き動かされるこうしたケースはいくらでもあるので、最初から自分を「私はロジカル派だけ」と決めつけず、4領域を全部味わってみるスタンスでいると新たな才能や情熱が芽生えやすいです。Q9. 停滞感や燃え尽き感を抱える経営者さんは、どう活かせばいい?A:もし今、*「数字ばかり追いかけて疲れてしまった」「周りの意見に合わせすぎて自分が見えなくなった」「本当は何をしたいのかわからない」*そんな状態にいるなら、ぜひ以下のステップを試してみてください。現状把握:自分の4領域バランスをざっくりチェック ・「ロジカルはどのくらい日常で意識している?」・「エモーショナルに目を向けている? チームやお客様の感情を無視していない?」・「遊び心や新しいアイデアにワクワクしている?(クリエイティブ)」 ・「直感やなんとなく感じるサインを大切にしている?(マジカル)」特に疎遠になっている領域を、あえて試してみる ・ロジカルに偏りすぎているなら、人と雑談する時間を増やす(エモーショナル) ・仕事を“ゲーム”のように扱い、制限を逆手に取った企画を考える(クリエイティブ)・直感的に「気が向く」「ゾワゾワする」ことに勇気を出してチャレンジする(マジカル)ぶっちゃけ、これだけで驚くほど元気になる人もけっこういます。分析、戦略、計画の世界観が自分の本質からズレている人にとっては、「そうそうこの感じ!」みたいにロジカルから解き放たれたときに生き生きする人もいます。陸上よりも水中のほうがいきいきできるみたいな感じで、陸上では息苦しかった人が水中でスイスイ動き回るみたいな感じ。小さくてもOK、継続してやってみる 1回やってみただけでは成果がわからないことが多いので、1週間~1ヶ月程度は意識して取り組む。人と対話する 「実は最近、数字ばかり追いかけててつまらなくなっちゃって…」など、信頼できる仲間やコーチに話してみると、意外なヒントや後押しを得られます。ぶっちゃけた本音を吐き出すのは、ロジカルの呪縛から開放されるためにはかなり有効です。僕自身2020年からコーチングを受け続けていますが、それはついついロジカルに染まってなんか心が乾きやすいという特徴に気づいたからです。遊びココロを解放することが自分の本質に一致しやすい生き方、考え方であるということを認めることができたのは本当にコーチングをうけたからこそでした。やっていくうちに、「あ、やっぱり自分はこういうエモーショナルな場面が好きなんだ」「意外とクリエイティブなアイデアを形にするのが得意なのかも」といった新たな自己発見があるはずです。ぜひ。Q10. 4領域を活かした経営スタイルを“続ける”には?A:続けるためのポイントは、「仕組み」をつくることです。日常業務は忙しく、どうしても意識しないとロジカルなタスク処理で終わりがちですよね。なので、以下のような仕組みをおすすめします。週1回の“雑談MTG”をセット雑談の中にエモーショナルやクリエイティブが生まれるきっかけが多いです。無理やり業務会議にしないのがコツ。数値会議の終わりに“直感チェック”タイムロジカルな打ち合わせをした後、「今、何か気になることある?」とメンバーに聞いて回り、マジカルな意見を拾う。あえて遊び心を刺激する企画を定期的に月に1度“なんでも提案会”を開くなど、クリエイティブ発想を促す場を用意する。自分なりに“4領域マップ”を可視化して壁に貼っておく「今月はエモーショナル不足」「来月はクリエイティブをもっと増やそう」など、ぱっと見て分かる形にする。また、コーチやメンタリングの場を活用するのもおすすめです。対話のプロと一緒に進めると、日々の忙しさに流されても軌道修正がしやすくなります。まとめ:あなたの内なる4つの声を、もう一度信じてみようロジカル・エモーショナル・クリエイティブ・マジカル――これら4領域は、実はすべての人の中に少なからず存在します。幼少期の家庭環境や初めて入った会社の文化によって、得意領域と不得意領域が分かれているだけ。もし「ロジカル一辺倒で息苦しい」「自分の中のワクワクを殺している気がする」「外側の声に合わせすぎて、何が本当の自分か分からなくなった…」と感じていたら、この4領域の視点を思い出してみてください。大雑把に方向を決めるときはロジカル人の感情や組織の空気を読むときはエモーショナルイノベーションや逆転の発想が必要なときはクリエイティブ勝負どころやチャンスを感じ取るときはマジカルあなたの中には、まだ眠っている素晴らしい力があるはずです。それを全部大切に扱ってこそ、“本当にやりたい経営スタイル”が形になっていきます。PS:どれか1つを否定する必要はない 経営において「ロジカルなんていらない」「いや、エモーショナルは感情論だ」と、どれか1つを否定しがちな言説を耳にすることがあります。でも、否定よりも“組み合わせ”を意識したほうが、経営はずっと面白くなると私は思います。ロジカルが弱い人がエモーショナルやクリエイティブを伸ばすのもアリですし、マジカルな領域をちょっと怖がっていた人が「なんとなく気になる」を追いかけてみたら意外な成果に繋がるかもしれない。最初は小さく始めても大丈夫。もしあなたの中に「もう一度、心のワクワクを感じたい」という思いがあるなら、ぜひ4領域を意識してみてください。一見、対立しそうなこの4つのパワーをごちゃ混ぜに活用するとき、あなたの経営はきっと大きく飛躍するはずです。ちなみに、意識しないとどれかに偏ることが普通で、流派が違う者同士がバトるというのは組織あるあるです。組織内でロジカル強い集団と、エモーショナルが強いコミュニケーション型の集団が仲良くなりにくいみたいなのもよくあります。使ってる言語が違うし、発想の起点が違ったりするんです。うまく混ぜていく思考が経営者にあれば、こういう壁も減らしやすくなりますね。――以上、エグゼクティブコーチの野中祥平でした。最後まで読んでくださって本当にありがとうございます!【関連記事】【音声】「前年比◎%成長にとらわれて、自分を見失う」エグゼクティブコーチRADIO/経営者あるある#002【おすすめ記事】経営者が自己犠牲マインドを手放した先にある「静かな、るんるんモード」って何?【おすすめ本】なぜ私は『守りの経営』をすすめるのか?停滞中の経営者こそ、実は守りを全方位で見直すべき【人気の記事】なぜ経営者は『ロジカル思考だけ』だと行き詰まりやすいのか?『なぜ私は4年間、コーチングで「遊びの時間」を大切にしているのか ー 経営者の意思決定力を高める意外な習慣』停滞感気味な経営者必見!実は大きな飛躍の前に起こる2つのパターンとは?