こんにちは、エグゼクティブコーチの野中祥平(のなさん)です。この記事では、「カラーバス効果」と呼ばれる心理現象を軸に、コーチングを10倍活かすヒントをお伝えします。最近こんな声をよく耳にします。「セミナーとか本とか頑張ってインプットしても、イマイチ成果につながっている気がしないんです……」「AIは導入したし、いろんな経営塾も行ってみた。でも、なぜか停滞感が拭えない」実は、この“停滞感”や“もやもや”を感じている経営者さんは増えています。そして意外かもしれませんが、この「停滞感=次のステージに行く前の合図」でもあるんですよね。僕自身、コーチングを取り入れたことで、5年間で赤字事業の売上を10倍に伸ばした経験があります。でも最初からスムーズだったかというと、まったくそうではなく、停滞感にどっぷりハマった時期がありました。そのなかで大きく役立った理論のひとつが、ここで紹介する「カラーバス効果」なんです。本記事は、「なぜカラーバス効果がコーチングとこんなに相性がいいのか?」を中心に、みなさんが抱える「なぜ頑張ってインプットしているのに停滞するのか?」を解きほぐしていきます。最後まで読むと、「あ、これが“脳内の問い”を変えるってことなんだ!」と実感していただけるはずです。それでは、さっそく見ていきましょう。スリーセンテンス要約カラーバス効果とは、脳内に「探したいテーマや問い」があると、日常のあらゆる情報の中から関連するヒントやチャンスが勝手に目につく心理的仕組み。経営者が停滞感に陥りがちなのは、目の前の問題対応ばかりに追われて“未来志向の問い”をセットしていない状態にあり、どれだけ本やセミナーでインプットしても必要な情報がフィルターを通り抜けてしまうから。コーチングは、この“脳内の問いづくり”をサポートし、経営者が本来持っているアイデアやチャンスを自然に引き寄せられる状態を作るための有効な手段である。◾️そもそも、カラーバス効果って何?◎一言でいうと「脳内に“特定の問い”があると、その情報だけ自然に飛び込んでくる心理現象」「カラーバス効果」とは、何か特定のことを意識し始めると、日常でその情報がやたら目につくようになる現象をいいます。たとえば、あなたが「最近、赤いスポーツカーがほしいな」と頭に浮かんだとしましょう。すると街を歩いているだけで、赤いスポーツカーばかりを見かけるようになる。しかも「こんなにあちこち走ってたっけ?」と思うくらい、自然と赤いスポーツカーを探し出してしまうんです。これは、脳が「必要そうな情報」を自動で拾うフィルター機能を持っているからだと言われています。脳は本来、膨大すぎる刺激を全部は処理できないので、「重要そうな情報だけを優先的にピックアップする」仕組みを持っていると言われてます。だから「赤いスポーツカーに注目だ!」と意識していると、本当にその“赤い”車ばかり目に飛び込んでくるわけです。もしこの理論を知らないと、「自分がたまたま赤い車ばっかり見つけるから、世の中が赤い車だらけになった!?」と混乱しがちですが、実際は最初から同じ数だけ街を走っていたんですよね。ただ、自分自身のフィルターが切り替わったことで、必要な情報だけを認識しやすくなったというわけです。◎具体例:「意識する=脳内に問いがある状態」を体験する。カラーバス効果をもっと視覚的にイメージできるように、ちょっとした例をご紹介します。たとえば「この写真の中にある、赤い野菜は何種類ありそうですか?」と質問されたとしましょう。すると、見知らぬ海外の野菜市場っぽい写真のなかでも、トマト、パプリカ、赤玉ねぎ、あるいは唐辛子など「赤い色をしている」野菜ばかりが一瞬で浮き上がってきます。一方、「何の写真かな~?海外の市場か~」くらいの認識で眺めているだけだと、赤い野菜が何種類あっても「へぇ、賑やかな市場だな」で終わってしまう。これは、脳が「赤い野菜はどこ?」と意識の矢印を向けることで、その他の膨大な情報を捨てて、「赤い野菜だけ」優先的に拾っている証拠です。逆に、「赤い野菜はどこ?」と言われてる時に、「緑の野菜が何種類あったか?」と言われても「え、、、わからない!」と捉えられない状態になります。このように「脳内の問い」がはっきりしていると、不思議なくらい必要な情報だけが目に留まるようになる――これがカラーバス効果の正体です。意識するというと、難しく聞こえるのですが「問いを意識する」と考えると、視界に入る情報やチャンスが変わるということが理解しやすくなる事例ですね。◾️カラーバス効果と、コーチングはどう関係するの?◎カラーバス効果が起きるには“意識するテーマ”が要る→ コーチングは「問い」を仕込むプロここでポイントになるのが、「問い」の存在です。カラーバス効果は、何かを探そうとか 何かを知ろうという意識(=つまり問い)が脳内にあるときに強力に働きます。「もしも2年後に、営利10億円が達成できていたとしたら、何がポイントだったのかな?」「もしも2年後に、営利10億を楽々達成できているとしたら、自分がどんな経営スタイルで動いていた時なのかな?」上記は、実際、僕が上場企業で執行役員をしていた時のコーチとセッションで、何度かテーマにした問いの例です。この問いを設定したことで、「あ!これはチャンスだ!」「あれ、これは捨てた方が良さそう!」そんな気づきが日々おこるようになりました。コーチングとは、こうした「脳内の問い」をデザインする行為でもあるんです。この未来の脳内の問いをデザインできるようになると、“未来に役立つ情報”や“新しいチャンス”を拾えるアンテナ*が立ち始めるわけです。つまり、コーチングは「新しい問い」を手に入れるためのプロセスだともいえます。「質問を作るだけなら、自分だけで考えられるんじゃない?」と思うかもしれませんが、実際には意外と難しい。それは一人だと「どうしたらこの課題を解決できるか?」というHOWばかり気になってしまい、目先の対応で手一杯になりやすいからです。経営者という立場は、日々の業務・トラブル処理・数字管理など、目の前の対応で手いっぱいになりやすいようにできてるんです。僕もかなりの期間、そうでした。結果、「未来に対してどんな問いを投げたいか?」という大事な作業が後回しになりがち。そこで“問いづくりの専門家”でもあるコーチが、「あなたが本当に大事にしたい未来にフォーカスする問い」を一緒に作り上げてくれるわけですね。◎さらに、、、違和感・ネガティブ感情にこそ、大きなチャンスの芽が隠れているコーチングの場では「停滞感」「イライラ」「なんか違う……」といったネガティブ感情が扱われることも多いです。一見、これらの感情は邪魔なものに思えるかもしれませんが、実は「自分が本当に求めているもの」を知るヒントでもある。「このままの経営スタイルでいいの?本当はもっと自由に動きたいんじゃない?」「今のままではチャンスを逃してしまう……何かが足りないぞ?」こうした違和感や不安をあえて掘っていくと、“意外な方向に進んだときにこそ自分は生き生きできる”という真実に気づけたりします。その気づきを「問い」として仕込んであげると、自然と目の前の世界からポジティブな手がかりを拾い始める――これがカラーバス効果とコーチングがしっくり噛み合う理由なんです。経営塾、セミナー、書籍、YouTube…こうした「インプット」では停滞感を脱却しにくい根本原因って?「問いなきインプット」は、情報をスルーしがちこの、「意識して、問いを設定すると、情報やチャンスをキャッチしやすくなる」カラーバス効果ですが、うっかりすると私たちは「インプットさえすれば、課題解決できる」と思い込みやすいので注意です。「なんとなく、いい情報ないかな?」って漠然とした意識で本を読んでもあんまり得られるものってないじゃないですか。これ、自分の中にある「問い」があいまいなケースの象徴なんです。確かに、経営塾やセミナー、本などは、良質な情報が詰まっています。ところが、「情報を受け取る側」の脳内に明確な問いがない場合、どんな優秀な知識もスルーされやすいんですよね。たとえば、同じセミナーを受けた二人がいたとして、Aさんは「営利10億を達成するために、人材育成面で何か今すぐ取り入れられるヒントはないか?」という問いを持っているBさんは漠然と「何かヒントないかなぁ」と思っているだけこの状態で同じ講義を聞いても、Aさんは人材育成のノウハウに“過剰反応”するくらいアンテナが働き、発言や実例をしっかりメモする。一方、Bさんは同じ話を聞いても「まあ、なるほどね」程度で終わりがち。これは単にBさんが怠けているわけではなく、脳内にピンポイントの問いが用意されていないから情報が定着しにくいだけなんです。カラーバス効果を意識して、「良質な問い」を設定できてる人とそうじゃない人の人生、経営は大きな差が生まれることがわかってきたのではないでしょうか。この意識の差は、1週間、1ヶ月、半年、1年と時間が経過すればするほど大きな差を生み出します。◎目の前の課題に追われる経営者ほど、未来への問いを忘れてしまう多くの経営者が停滞感を抱える背景には、「常に今をなんとかしなきゃ」で、未来に意識を向ける余裕が消えていることが挙げられます。トラブル対応、営業、クレーム対応、部下の相談、毎日の売上チェック……AIツールの導入やDX推進など、覚えるべきことも山積み気づけば、「いま起きている問題を早く解決したい」と、そればかりに注力してしまう。結果、“5年後、どういう組織でありたいか”とか、“理想の事業モデルは何か”といった問いは片隅に追いやられ、「どうすれば目の前を乗り越え、火消しできるか?」だけが問いになる。もちろん、現場対応は大切です。でも、未来への問いがない状態でセミナーや本を読んでも、結局“過去や現在の問題”を強化する情報ばかりを集めてしまうんですね。だからこそ、「長期目線の問い」を再度設定し直す必要があり、ここをコーチがサポートしてくれると、一気にインプットの効率が上がるわけです。◎カラーバス効果が発動しないと、せっかくの最先端技術や成功事例も“他人事”で終わりがちまた、経営塾やセミナーで得た成功事例――たとえば「SNSを使って○億円の売上を達成しました!」など――も、脳内に未来視点の問いがないと「へぇ、すごいですね」で終わり。「自分の組織ならどう活かせるだろう?」という視点に辿りつかなければ、知識は生かされません。YouTubeでどんなに素晴らしい起業家の話を聞いても、「この人は別世界の人だな」的に受け取ってしまうのは、“じゃあ、自分だったらどうする?”という問いを持ってないからなんです。◾️コーチングを受けると、なぜチャンス・情報・違和感に気づきやすくなるの?◎コーチは「あなた固有の問い」を引き出してくれる「じゃあ、何かインプットするにしても、自分で問いを作ればいいんだね!」と思われるかもしれません。確かに、ある程度の自己対話で問いを設定することも可能です。でも実際、経営者ほど客観視が難しく、自分の本音をつかみにくい立場もないんですよね。「本当は新規事業に挑戦したいけど、周囲の期待は既存事業の拡大……」「組織メンバーの顔色が気になり、自分がやりたい経営を主張しづらい……」こういう状況だと、自分の頭の中で「でもなあ……」「今はそうも言ってられないか……」とブレーキがかかりやすい。そのままだと、どんな素晴らしい情報と出会っても、本質的には動けずに“停滞感”が続くわけです。コーチングでは、「現状の思考パターン」や「感情の揺れ」を一旦外に出して俯瞰(ふかん)してもらえるので、「あれ、実は本当にやりたかったのはこっちじゃない?」みたいな発見がしやすい。そして、そこから「じゃあ、どういう問いを持って日々を過ごしていく?」と落とし込んでいく。こうやって自分らしい問いが明確になると、脳のカラーバス効果が強く働き始めて、“必要なチャンスや情報や違和感”を自動的に拾ってくれるのです。 ◎「違和感」は“未来のヒント”の宝庫コーチングを受けると、「あれ、なんかここだけモヤるぞ?」みたいな違和感に敏感になる経営者が多いです。というのも、「在りたい未来」を明確にするほど、現状とのギャップが鮮明になるから。「本当は社員がもっと自走できる組織を作りたい」と設定した途端、今まで見過ごしていた社員間の意欲格差や雰囲気の停滞がやけに気になる「自分は自由度の高い経営をしたい」と思うほど、細かい決済フローや余計な会議に“うわ、これ無駄かも”と気づきやすくなるこの「違和感」に気づけるということは、未来のために必要な変革ポイントを見つけたともいえます。つまり、「本当にやりたい形」と「今の状態」が不一致だから生まれる違和感。そこを素通りせずにキャッチできるようになると、「あ、ここが変革のチャンスじゃん」と動ける。結果として、停滞感を抜け出し、新しいアクションを起こすきっかけを次々につかめるようになるんですね。◎「未来完了形の問い」がモチベーションを加速させるコーチングの現場では、「なぜ私はこんなにうまくいっちゃったんだろう?」など、未来完了形の問いを扱うことも多いです。これ、一見ジョークみたいに聞こえるかもしれませんが、脳のカラーバス効果をフルに利用するうえで超強力なアプローチ。「なんでこんなに成功しちゃったんだろう?」と“既に成功している状態”を仮設定すると、脳はその“成功の理由”を自動で探し始めます。「メンバー同士が協力し合ってるのが大きいのかも?」「SNS経由で新規顧客を自然に獲得できたのかも?」「少なくとも、今の商品じゃない別の商品で飛躍してなきゃダメなような?」こうした仮説が浮かぶたびに「じゃあ、そこをもっと伸ばせばいいかも!」「まずはこれをやってみよう!」と具体行動に繋がる。これが、「どうしてダメなんだろう……?」というネガティブな問いと正反対の効果を生み出すわけです。「未来完了形の問い」の応用として、「理想を叶えた未来の自分が今の自分にアドバイスするなら、なんてアドバイスしますか?」という問いもけっこう私は使います。この視点の切り替えで、スパッと新しいアイデアに気づく人もいます。まとめ:脳内にある問い次第で、人生も、経営も大きく変わる。脳内の問いを変えたければ、コーチングを上手に活用しよう。ここまで読んでみて、いかがでしょうか?「カラーバス効果が発動すると、普段スルーしていた情報を自然に拾えるようになる」――頭では理解していても、“現実の経営”ではなかなか意識しづらい部分ですよね。しかし、実際にコーチングをうまく活用してみると、「赤字部門が盛り返すきっかけ」になる情報が、なぜか次々と舞い込んできた社員との何気ない雑談の中から、「新事業のヒント」*があっさり見つかった当たり前だった会議フローに「これって無駄じゃん!」と気づき、一気に社内が活性化したこうした事例は数えきれないほど存在します。それは「世の中が突然変わった」わけでも、「社員が急に優秀になった」わけでもありません。“経営者自身の脳内フィルター”が変わり、必要な情報やチャンスに反応できる状態が整ったからです。よく「答えは自分の中にある」って言ったりもしますが、僕としては「答えが自分の中にあるというより、答えを見つける力が自分の中にある」という表現が正しいかなと。実際新しい意識で、新しい行動をすると、新しい気付きが生まれ、新しいチャンスを育てやすくなります。そのループをたくさん回すことで新しいチャンスに気づきやすくなるのであり、何も行動しなくても答えに気づけるそういう世界観ではないです。私のエグゼクティブコーチングでは、停滞感を感じていたり、もっと飛躍していきたい経営者さんのこの気づきのループを10,000倍加速させることを意識してサポートをしています。2週間に1回話すタイミングのデザインも、毎週振り返りしてもらう時間のデザインも、このループを回しやすくするために設計しています。その裏には、こういったカラーバス効果というシンプルな理論があります。少しでもコーチングを受ける意味やメリット、活かし方の参考になっていたら幸いです。P.S. (あとがき)実は僕自身、かつては「もっと数字を伸ばさないと……」「なぜうまくいかない?」という問いばかり抱えていました。赤字事業のV字回復を任されていたときなどは、本やセミナー、YouTubeなど、とにかくインプット漬けの日々。けれど不思議なほど成果には結びつかず、心ばかりが焦る状態が続きました。そこにコーチングを取り入れ、対話を重ねるうちに、「本当は自分、どんな経営が理想なんだっけ?」と未来志向の問いが浮かぶようになったんです。すると、日頃の会話の中で「それ、うちの事業に使えるかも!」「これとこれを組み合わせたら、すごくお客様に感謝されるかも!」とひらめく瞬間がどんどん増えていきました。まさに「脳内が切り替わったら、世の中の見え方が変わった」体感があったんですよね。そんな経験を踏まえて、僕は「コーチングの本質は“脳内の問い”をアップデートして、あなたらしさを最大限に引き出すこと」にあると感じています。もしあなたが今、停滞感や違和感を覚えているなら、そのマイナス感情は「もう次のステージに行きたいよ」というサインかもしれません。ぜひ、カラーバス効果を上手に発動させて、「あれ、こんなにうまくいっちゃっていいの?」という未来を一緒に創っていきましょう。P.S. S.(あとがき)言わずもがなですが、ネガティブなカラーバス効果には注意してください。「なんで経営がうまくいかないんだろう?なんでこんなに停滞してるんだろう?」のように出てくる答えが暗くなる問いを自分に投げかけまくる人は、目の前に映る現実も暗い現実、情報ばっかりになりやすいです。当たり前ですよね、ネガティブなカラーバス効果を自ら発動させて、自らその答えを見つけてしまってるんだから。だから、気分が落ち込んでたり、する時は、「あれ、私今脳内にある問い、暗いかも?」って疑ってみるのも大事ですよ。自己肯定感が低いんじゃなくて、ネガティブな問いを自分に質問しているケースけっこう多いので注意です。おすすめ記事なぜ経営者は『ロジカル思考だけ』だと行き詰まりやすいのか?経営者が自己犠牲マインドを手放した先にある「静かな、るんるんモード」って何?『なぜ私は4年間、コーチングで「遊びの時間」を大切にしているのか ー 経営者の意思決定力を高める意外な習慣』停滞感気味な経営者必見!実は大きな飛躍の前に起こる2つのパターンとは?