こんにちは、エグゼクティブコーチの、野中(のなさん)です。この度、株式会社NonaCanvasでは、30〜59歳の経営者・役員を対象に「経営者向けコーチング 活用実態調査2025」を実施したのでその結果をシェアいたします。本調査は、コーチング市場の現状把握と、コーチングへの関心を持つ経営者層への客観的な情報提供を目的としています。特に「実際の活用頻度」「費用水準」「具体的な対話内容」「導入のきっかけ」といった、これまで可視化されていなかった市場実態を明らかにすることで、経営者の意思決定に資する基礎データの提供を目指しました。※本調査は、経営者・役員を対象としており、管理職やマネージャーといった方は調査対象としておりません。📊 調査結果サマリー主要な調査結果認知度60%到達:コーチングという言葉を知っている経営者は6割に達し、そのうち44%が「興味がある」と回答高い投資対効果:経験者の43%が「投資額の7倍以上の価値」と評価、70%が「2倍以上の価値」を実感活用頻度は週1回が最多:32%が週1回ペース、隔週21%、月1回23%と継続的な関係性を構築費用帯は幅広く分布:月額10〜20万円が21%で最多も、5万円未満から30万円以上まで多様化長期継続者も存在:1〜2年未満が25%で最多、一方で10年以上の継続利用者も16%導入のきっかけは体験談と課題起点:知人の推奨(28%)や組織課題・事業成長(各42%)が主流。メディア経由は各1割にとどまる事業成長と内面課題の両方を扱う:「新規事業のアイデア・壁打ち」「事業戦略・ビジョン」が各40%でトップ、メンタルヘルスや人間関係など内面的課題も扱われる調査背景:市場成長と「情報の非対称性」1990年代後半にコーチングが日本に導入されてから20年以上が経過し、認知度は60%に達しました。近年では、コーチングの様子をYouTubeで解説する動画が増えたり、コーチ自身がSNSで積極的に発信したり、株式上場しているコーチング企業が登場するなど、コーチング市場の裾野は着実に広がっています。しかし、認知と利用の間には依然としてギャップが存在します。多くの経営者が「実際の活用イメージが湧かない」「適切なコーチの選定基準がわからない」「投資対効果の妥当性を判断できない」といった情報不足により、活用に至っていない実態があります。また、コーチング市場はコーチングファーム所属のコーチとフリーランスのコーチに大きく二分されており、市場全体の実態を俯瞰するデータが不足していました。そこで株式会社NonaCanvasは、経営者の意思決定に資する客観的データを提供し、市場の透明性を高めることを目的に、本調査を実施しました。詳細な調査結果と考察【調査対象:30〜59歳経営者・役員1,064名(男女)】1. コーチングの認知度と潜在市場規模■コーチング認知度/割合項目割合コーチングを知っている60%コーチングを知らない40%■コーチング認知者のうち、興味がある層:44%(活用経験をある人を除く)考察:高い認知度と関心層の存在コーチングの認知度60%は、30年にわたる市場育成の成果を示しています。特筆すべきは、認知者の44%が「興味がある」と回答している点です。これは潜在市場として全体の約26%(約278名相当)が関心層であることを示唆しており、適切な情報提供により市場拡大の余地があることを示しています。一方で、認知はしているものの実際の利用に至っていない層が多数存在することから、情報の非対称性や選定の難しさが市場拡大の阻害要因となっている可能性があります。2. コーチング活用のきっかけと導入経路【調査対象:30〜59歳の経営者・役員265名(男女)/コーチング活用経験者】(複数回答可)■コーチングを受けたきっかけ/割合きっかけ割合組織課題(育成、離職など)の解決42%事業の成長や業績の課題解決42%意思決定の質やスピードを高めたい38%知人・経営者仲間の体験談や推奨28%コーチがたまたまいた19%YouTubeやSNSなどで見て10%書籍や雑誌、新聞、TVなどで見て10%考察:課題起点と人的ネットワーク起点が主流本設問は複数回答可能であるため、コーチング導入のきっかけは複合的であることが前提となります。その上で、大きく2つの導入パターンが浮かび上がります。パターン1:課題起点型(約4割) 「組織課題の解決」「事業成長」「意思決定の質向上」など、明確な経営課題を抱えた経営者が能動的にコーチングを選択しています。4割前後の経営者が、具体的な課題解決の手段としてコーチングに着目している実態が明らかになりました。パターン2:人的ネットワーク起点型(約3割) 知人や経営者仲間の体験談や推奨により導入するケースが28%存在します。これは、経験者の口コミが重要な情報源となっていることを示唆しています。特に、無形のサービスであるコーチングにおいては、信頼できる人物からの推奨が導入の後押しとなることがわかります。メディア経由は限定的:デジタル・オフラインともに各1割 YouTubeやSNSなどのデジタルメディア経由、および書籍・雑誌・新聞・TVなどのオフラインメディア経由は、それぞれ10%にとどまっています。これは興味深い結果です。コーチングの認知拡大においてはメディアが一定の役割を果たしているものの、実際の導入決定においては、メディア情報だけでは不十分であることを示しています。コーチングという無形サービスの特性上、「本当に効果があるのか」「自分に合うコーチはどう選べばよいのか」といった不安を、メディア情報だけでは解消しきれないためと考えられます。市場への示唆:「きっかけ不足」という障壁この結果から、コーチング市場拡大における重要な示唆が得られます。明確な課題を持つ層(4割)は自ら情報収集し導入に至る人的ネットワークを持つ層(3割)は推奨により導入するそれ以外の層は、「きっかけがない」「周囲にコーチングを活用している人がいない」「周囲に『コーチングが良かった』と言っている人がいない」という状況により、潜在的な関心はあっても導入に至らないつまり、認知度60%、関心層44%という潜在市場がありながら、実際の利用に至る経営者が限定的である背景には、「きっかけ」「周囲の経験者」「信頼できる情報源」の不足という構造的な障壁が存在すると考えられます。3. 投資対効果(ROI)の実態【調査対象:30〜59歳の経営者・役員265名(男女)/コーチング活用経験者】■コーチングの投資対効果/割合投資対効果割合7倍以上の価値43%4倍〜7倍未満の価値11%2倍〜4倍未満の価値16%投資額と同程度の価値23%投資額以下の価値8%考察:高い満足度の背景と「価値」の多元性経験者の43%が「7倍以上の価値」、70%が「2倍以上の価値」を感じているという結果は、特筆すべき高評価です。この背景には、以下の要因が考えられます。1. 数値化できない価値の存在 コーチングの価値は、直接的な売上向上だけでなく、「意思決定の質向上」「思考の整理」「精神的な余裕」「自己認識の深化」など、多元的です。これらは短期的な数値には表れにくいものの、経営者自身が実感する価値は大きいと推察されます。2. 継続的な効果の蓄積 後述の継続期間データからも明らかなように、コーチングは短期的な施策ではなく、継続的な関係性の中で効果が蓄積されていきます。この長期的な視点が、高い投資対効果評価につながっていると考えられます。3. 「投資額以下」と感じる層の存在(8%) 一方で、8%の経験者が「投資額以下の価値」と評価している点も見逃せません。これは、コーチとの相性や活用方法の適切さにより、効果に差が生じることを示唆しています。市場拡大への示唆 高い投資対効果にもかかわらず利用者が限定的である理由として、「どのコーチを選べばよいかわからない」「初期投資へのハードルが高い」「周囲に経験者がいない」といった情報・心理的障壁の存在が推測されます。4. 費用水準の実態と市場構造【調査対象:30〜59歳の経営者・役員265名(男女)/コーチング活用経験者】■コーチング月額費用/割合月額費用割合30万円以上19%20〜30万円未満14%10〜20万円未満21%5〜10万円未満20%5万円未満26%考察:多層化する市場と価格形成要因月額費用が5万円未満から30万円以上まで幅広く分布している点が注目されます。この多様性は、以下の市場構造を反映していると考えられます。価格形成の主要因コーチの経験・実績・専門性:数千時間のセッション実績を持つベテランコーチと、駆け出しのコーチでは価格帯が大きく異なるセッション頻度と時間:週1回90分と月1回60分では月額費用が変動提供形態:個人契約か法人経由か、単発セッションか継続契約か付加価値サービス:セッション外のチャットサポート、資料提供、アセスメントツール活用などの有無市場の多層化ハイエンド層(20万円以上・33%):上場企業経営者、連続起業家など、高度な経営課題を扱う層ミドル層(10〜20万円・21%):成長期のスタートアップ経営者、中堅企業の経営層ローエンド層(10万円未満・46%):スモールビジネス経営者、副業経営者、若手起業家などこの多層化は、コーチング市場が多様な経営者層のニーズに対応していることを示しています。5. 活用頻度と継続性【調査対象:30〜59歳の経営者・役員121名(男女)/コーチング活用経験者】■コーチング活用頻度/割合頻度割合週に1回32%2週間に1回21%月に1回23%2〜3ヶ月に1回5%それ以下の頻度18%■コーチング継続期間(通算)/割合期間割合1年未満22%1年〜2年未満25%2年〜3年未満15%3年〜5年未満16%5年〜7年未満3%8年〜10年未満3%10年以上16%考察:継続的パートナーシップとしてのコーチング、そしてオンライン化の影響週1回が最多(32%)という結果は、コーチングが経営における継続的な対話パートナーとして位置づけられていることを示しています。また、隔週(21%)、月1回(23%)という頻度も一定数存在することから、経営者の状況や課題に応じて柔軟に頻度を調整していることがわかります。特筆すべきは、10年以上の長期継続者が16%存在する点です。これは以下を示唆しています:1. 経営の長期パートナーとしての価値 10年以上継続するということは、一時的な課題解決ツールではなく、経営者の成長と事業の発展を長期的に支える存在として機能していることを意味します。2. 関係性の深化による価値向上 長期的な関係性の中で、コーチは経営者の価値観、思考パターン、事業背景を深く理解します。この深い理解が、より本質的な対話と効果を生み出すと考えられます。3. 経営環境の変化への適応 事業は成長期、停滞期、変革期など様々なフェーズを経ます。長期継続者は、これらのフェーズ変化に応じてコーチングを活用していると推察されます。オンライン化がもたらした市場拡大の契機継続期間のデータを読み解く上で重要な文脈として、2020年以降のコロナ禍がコーチング市場に与えた影響があります。コロナ禍以前、コーチングは対面または電話で提供されることが主流でした。しかし、2020年以降、ZoomやGoogle Meetなどのオンラインツールでの提供が当たり前になったことで、物理的・空間的な制約が大幅に軽減されました。この変化は、受け手側だけでなく、コーチ側にとっても提供しやすい環境を生み出しました。特に重要なのは、コーチングが守秘義務を重視し、オープンな場所では話しにくいトピックを扱うサービスである点です。オンラインでの1対1セッションにより、物理的な個室を確保する必要がなくなり、守秘性の高い環境を容易に構築できるようになりました。この結果、コロナ以降にコーチングを受け始めた経営者・役員が増加していると考えられます。1年未満(22%)、1〜2年未満(25%)という比較的短期の継続者が合計で約半数を占める背景には、こうした市場環境の変化も影響していると推察されます。6. コーチの選定と依頼先の実態【調査対象:30〜59歳の経営者・役員121名(男女)/コーチング活用経験者】■コーチング依頼先/割合依頼先割合コーチングファーム所属のコーチ48%フリーランスのコーチ21%コーチング機能を持つコンサルタント11%紹介サービス経由のコーチ7%社内コーチ5%わからない・その他7%考察:選定の難しさと組織的支援の重要性コーチングファーム経由が約半数(48%)を占める一方、フリーランスのコーチ(21%)も一定の市場シェアを持っていることがわかります。コーチングファームが選ばれる理由としては、組織的な品質保証体制、複数コーチからの選定可能性、契約・事務手続きの円滑さ、企業の福利厚生制度との連携などが推察されます。一方、フリーランスコーチが選ばれる背景には、特定の専門性や実績への信頼、知人経由の紹介による安心感、柔軟なセッション設計、相対的な費用の手頃さといった要因が考えられます。社内コーチが少数派(5%)である示唆 社内にコーチを配置している企業は少数派であり、多くの企業では外部コーチの活用が主流であることがわかります。これは、客観性・守秘性・専門性の観点から外部コーチが選好される傾向を示しています。市場への示唆 「わからない・その他」が7%存在することは、選定プロセスの不透明性を示唆しています。「どうやってコーチを探したか覚えていない」という状況は、市場の情報整備の必要性を示しています。7. コーチングで扱われるトピックの多様性【調査対象:30〜59歳の経営者・役員121名(男女)/コーチング活用経験者】(複数選択可)■コーチングで話していたトピック/割合トピック割合新規事業のアイデアや壁打ち40%事業全体の戦略やビジョン40%売上・利益・業績向上34%採用・育成・組織開発31%資金調達や財務戦略27%モチベーションやメンタルヘルス24%幹部や社員との人間関係23%自身の思考整理や意思決定の軸22%自身のマインドブロック、思考の変革21%長期の人生ビジョン16%タイムマネジメントや生産性向上14%プライベートや家族との両立12%迷い、違和感など感覚・感情的なこと11%考察:事業成長と内面成長の統合的アプローチこの結果から、コーチングは「外側の課題」(事業・組織)と「内側の課題」(思考・感情)の両方を扱う特徴が明確に示されています。コンサルティングとの差異化要因従来の経営コンサルティングは主に「外側の課題」(戦略立案、業務改善、マーケティングなど)に焦点を当てますが、コーチングでは以下の「内側の課題」も扱われます:モチベーションやメンタルヘルス(24%)自身の思考整理や意思決定の軸(22%)マインドブロック、思考の変革(21%)長期の人生ビジョン(16%)迷い、違和感などの感覚・感情(11%)統合的アプローチの価値経営者は、事業戦略を考える際にも、自身の価値観や直感、思考の癖、感情的な抵抗などの「内面」が影響します。コーチングは、これらを切り離さず統合的に扱うことで、より本質的な意思決定を支援します。例えば、「新規事業のアイデア」を考える際も、「なぜその事業をやりたいのか(内発的動機)」「何に躊躇しているのか(心理的ブロック)」「本当にやりたいのか、それとも『やるべき』と思っているだけか(価値観の明確化)」といった内面の探求と並行して行われます。AI時代におけるコーチングの価値特に注目すべきは、「迷い、違和感など感覚・感情的なこと」(11%)が扱われている点です。AI技術が進化し、ロジカルな分析や情報整理はAIが補完できるようになった今、人間特有の「違和感」「直感」「情熱」といった感覚的な要素の重要性が増しています。コーチは、これらの言語化しにくい感覚を丁寧に扱い、経営者自身が自分の内なる声を聴くサポートをします。これは、AIには代替できない人間のコーチの価値と言えます。代表コメント株式会社NonaCanvas 代表取締役 野中祥平「今回の調査で、コーチング経験者の43%が『投資対効果7倍以上』と回答した結果は、私自身の経験とも一致するものです。私は2020年1月からコーチングを受け続けており、その過程で上場企業の執行役員として赤字事業を5年で10倍成長させることができました。AI時代を迎えた今、経営者を取り巻く環境は大きく変化しています。ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、ロジカルな分析や情報整理、戦略の壁打ちをAIが補完してくれる時代になりました。実際、日々の経営判断においてAIを活用する経営者は増えており、今後さらに増加すると予測されます。しかし、だからこそ、経営者自身が感じる「些細な違和感」や「直感」、そして「自分の情熱」を確認することの重要性が増しています。AIは膨大なデータから最適解を導き出すことはできますが、『あなた自身が本当にやりたいことは何か』『その決断は本当に自分らしいのか』『なぜその方向に違和感があるのか』といった、内面的な問いには答えられません。コーチとの対話を通じて、経営者は未来への確信を得たり、経営上の違和感や迷いを解消することができます。これは、知識やロジックでは解決できない領域です。もちろん、コーチングは万能ではありません。手法としての相性がありますし、すべての経営者にとって最適な選択肢とは限りません。しかし、相談相手が少ない、知識やコンサルティングでは解決できない迷いを抱えている、手放すべき思い込みや、自分で自分を縛ってしまっている——そんな経営者は少なくありません。コーチは『クライアントの可能性を信じる』プロフェッショナルです。経営者に伴走してもらうことで、経営と健全に向き合える方は多いと確信しています。今回の調査が、一人でも多くの経営者にとって、コーチングを検討する際の判断材料となり、そして日本のコーチング市場全体の透明性向上に貢献できれば幸いです。」株式会社NonaCanvasについて株式会社NonaCanvas(https://nonacanvas.co.jp/)は、「経営の迷いや違和感を解決する」エグゼクティブコーチングサービスを提供しています。代表の野中祥平は、上場企業の執行役員として赤字事業を5年で10倍成長させた経営実績を持ち、2020年1月から現在までコーチングを継続的に受けている当事者でもあります。プロコーチとしても累計500時間以上のセッションを提供しており、受け手と提供者の両方の視点を持つ稀有な存在です。支援実績として、上場経験を持つ連続起業家・株式会社キッズライン代表取締役の経沢香保子氏をはじめ、売上70億円規模の企業経営者、10万フォロワー規模のインフルエンサー起業家など、多様な経営者層のサポートを行っています。今後、SNSや自社ウェブサイトを通じて、「コーチングの適切な活用方法」「効果的な対話のポイント」などの情報発信を強化し、コーチング市場全体の健全な発展に貢献していきます。会社概要商号:株式会社NonaCanvas代表者:代表取締役 野中祥平所在地:〒102-0074 東京都千代田区九段南一丁目5番6号りそな九段ビル5F KSフロア設立:2023年4月事業内容:エグゼクティブコーチング事業、コンサルティング事業URL:https://nonacanvas.co.jp/本リリースに関するお問い合わせ先株式会社NonaCanvas 担当:野中祥平URL:https://nonacanvas.co.jp/