こんにちは、エグゼクティブコーチの野中祥平(のなさん)です。2025年が2ヶ月近く経過し、「風の時代」「新しい時代」など、耳にする言葉もさまざま。そんななか私が強く感じているのは、「経営者が自己犠牲的に働くようなスタイルは、もう終わりに近づいている」ということです。もはや“寝る間も惜しんでひたすら頑張る”だけでは、長期的な成長や心からの幸せ、そして周囲との健全な関係は得られません。今日のテーマは、まさに「経営者自身の心のあり方や意識」に関するお話――題して「経営者メンタル」です。2024年9月に私が出版した『経営者メンタル2.0』は、ありがたいことにアマゾンランキング1位(経営科学、ビジネスライフ、ダイバーシティインクルージョン/無料top100)を獲得し、多くの反響をいただきました。そこでは主に、インナーモチベーション(内側から湧き上がる欲求や強み)を活かして「もっと軽やかに、楽しく経営しよう」というエッセンスを伝えています。実際、この本を読んで「嫌なことを手放したら経営が面白くなった!」「自分が得意な部分に集中したらチームが活性化した!」など、嬉しい声を数多く頂戴しているんです。ですが、実はここで終わりではありません。私が最近とくに重要だと感じているのは、「経営者メンタル3.0」という次のステージまで視野を広げること。自己犠牲のマインドを脱却し、自分の強みを活かしつつワクワクを取り戻すだけでなく、社会やステークホルダー全体を巻き込んだ“調和的な発展”を視点に入れると、経営はさらに大きく飛躍するのです。「数字や戦略だけじゃない形で、長く持続する成長を目指したい」という経営者の方には、ぜひ知っておいていただきたい考え方だと思っています。そこで今回のブログ記事では、1.0~2.0~3.0という“経営者メンタルの進化”をわかりやすく整理してみました。『経営者メンタル2.0』をまだ読んでいない方にもイメージが湧くように構成していますので、「何か変わりたい」「停滞感を打破したい」「でもガツガツ頑張るだけの経営はもう限界…」と感じている方は、ぜひ最後までお付き合いください。ここから先の“新しい時代”に必要な、経営者の心のアップデートを一緒に考えてみましょう。スリーセンテンス要約これからの時代、経営者は“自己犠牲的”な働き方ではなく、自分のワクワクを原動力にしながら他者と連携し、さらに社会全体の調和を目指す「経営者メンタル3.0」が求められる。まずは「インナーモチベーション」を活かした“軽やか”な2.0を土台に、自社やステークホルダーへの愛情と感謝を循環させる視点を加えると、経営の飛躍が持続しやすい。AI時代や環境変化の激しい今こそ、企業やリーダーの“本質”を問い直して全ステークホルダーの幸せと自分自身の充実感を両立させる経営スタイルが大きな進化をもたらす。経営者メンタル1.0とは?→猛烈型/自己犠牲モードまずは「経営者メンタル1.0」です。キーワード: 「猛烈に頑張る」「不安解消」「課題解決モード」「数字最優先」イメージ: 重い、苦しい、硬い背景: 経営者なら成果を出さなければいけない、会社を成長させなければいけない…そうした外圧や責任感が強く、精神的にも追い込まれやすい。 常にリスクを恐れ、不安解消のために「もっと頑張らないと」と猛烈に働き続ける。メリット: 短期的には数字を大きく伸ばせる可能性がある。 強いカリスマ性で組織を引っ張るケースも。デメリット(リスク): 経営者自身が消耗しやすく、周囲も疲弊。 「自分が犠牲になればいい」という思考は、中長期的に全体の循環を滞らせやすい。 社員やパートナーとの関係も管理・コントロールに偏りがちで、真の信頼関係を築きにくい。不安解消モードたとえば「売上を達成しないと倒産するかもしれない」「投資家に見放されるかもしれない」という恐れが大きくなると、何が何でも数字を最優先。自分や周囲の“心の疲労”を顧みずに走り続ける状況に陥りがちです。経営者メンタル2.0とは?:ワクワク/他者連携モード次に「経営者メンタル2.0」。キーワード: 「軽い」「楽しい」「柔らかい」「自分の得意を活かす」「他者と協力し合う」イメージ: 自分らしさを解放して、ストレスを減らしながら経営を楽しんでいる状態背景: 1.0での不安や自己犠牲的な頑張りを脱却し、「本来の自分の強みを活かすことが大事だよね」「仲間に任せられるところは任せよう」という発想へシフト。 「インナーモチベーション」を理解し、自分がワクワクすることに集中することで高いパフォーマンスを発揮する。メリット: 経営者自身が軽やかで、疲弊しにくい。 社員やパートナーも“自分の得意を発揮しよう”という前向きな空気が生まれやすい。 結果的に数字面も伸びる。デメリット(リスク): 自分や仲間の“楽しさ”には焦点が当たるが、社会全体への影響や長期的な大義を見失うと、成長が頭打ちになる可能性がある。 「内面の解放」に満足してしまい、外部との大きな共創やより広い社会貢献に意識が向きづらいケースも。軽くて柔らかいマインドたとえば「嫌いな業務は他の得意な人にお願いしよう」「仲間と得意分野を補い合おう」という発想で、経営者が苦手分野まで背負い込まないため、心身共にゆとりが生まれます。すると、自然と新しいアイデアがわいてきたり、メンバーが協力的になったり、ポジティブな連鎖が起こりやすいのです。1.0→2.0を目指すコツは書籍「経営者メンタル2.0」の中で解説してるのでよかったら読んでみてください。(5つのコツにまとめてあります。)経営者メンタル3.0とは?:全体の調和モードそして、今回特にお伝えしたい「経営者メンタル3.0」。キーワード: 「愛情」「感謝」「本質との一致」「全ステークホルダーの調和」イメージ: 自分や自社だけでなく、社員・パートナー企業・顧客・株主・社会全体に愛情や感謝が循環する。背景: 資本主義や物質主義に偏った時代を経て、今や“精神世界”の豊かさや“調和”が求められるように。 AIやテクノロジーが進化し、ロジカルな部分はカバーされやすいぶん、経営者には「全体最適」「人と人との融合」「社会とどう共鳴するか」という視野が必要になる。メリット: 周囲からの応援や共感が自然に集まり、持続的かつ大きな発展が見込める。 自社の中だけでなく、ステークホルダー全員が幸せになる仕組みを作れるため、経営者自身の充実感も桁違い。 社員やパートナー企業が“自分もこのビジョンの一部”と感じ、主体的に動くようになる。デメリット(リスク): 1.0や2.0の要素をすっ飛ばして3.0を掲げると、理想論だけで実務や数字が追いつかないことも。 “愛”や“感謝”といった抽象概念を具体的な経営施策につなげられるかがカギ。*「経営者メンタル3.0〜西洋的なロジカル思考と東洋的な調和思考の統合〜」の書籍が2025年6月に発売されました!Amazonランキング1位を獲得しました。スティーブ・ジョブズも3.0?もちろん「ジョブズ=全肯定」というわけではありませんが、「ロジカルな数字・戦略だけに留まらない、プロダクトやデザインの芸術性、社会を変えたいという情熱」が大きなモチベーションだったといわれています。世界観そのものをユーザーと共有し、結果として多くの人を“ワクワク”で巻き込んだ点は3.0的とも言えます。(前提)感謝や愛情のエネルギーが循環する、「全体の調和」とは?上記の画像にもあるように、「いい経営」とは全ステークホルダーの間に感謝や愛情のエネルギーが巡っている状態だと私は考えています。社員とその家族が満たされる顧客が喜びを感じ、社会と繋がる株主やパートナー企業ともメリットを分かち合えるさらには社会・国・地域全体にポジティブな影響を与えられるそして、経営者自身も自分に感謝し、自己肯定感を育んでいるそんなふうに、経営者を中心にハートマークがぐるりと循環しているイメージ。それが「経営者メンタル3.0」の完成形に近い状態だと思います。特に意識したいのが「経営者自身の意識」です。なぜ大事なのかというと、経営者メンタル1.0などの自己犠牲や強すぎる自責思考がある状態では、「自分が自分に感謝することができない」「どんな自分も愛することができない(数字や結果がでない踊り場のフェーズで自分を肯定できない)」からです。こういう状態だと、全体の循環が滞りやすくなり、経営者自身が感じる停滞感が組織に波及しやすくなってしまいます。経営トップが生き生きワクワクできていないことは、短期で見ても、長期で見てもデメリットが大きく、なんとかしたいものですが、なかなか経営者自身のメンタル改善やコンディション改善に問題があると気づけないことが多いのも課題です。なぜ今、「経営者メンタル3.0」が必要なのか?物質主義から精神的豊かさへのシフト 世の中が高度成長期を過ぎ、AIやIoTで効率化が進んだ今こそ、「人間らしさ」や「心の豊かさ」が大きな付加価値に。 単純に数字だけ伸ばす方法より、全体の幸福や調和を目指す企業が支持される時代に。社会全体の課題に取り組むリーダーシップが求められる 気候変動や人口減少といった大きな問題は、1社で解決できるものではない。 だからこそ、外部との協働や合意形成、愛や感謝をベースにした“共創”の経営が必要。経営者自身が長く持続できる 自己犠牲的に燃え尽きるだけの1.0でもなく、自分の楽しさだけに閉じる2.0でもなく、「社会に貢献しながら自分も楽しい」という3.0は、長期的にエネルギーを保ちやすい。 感謝や愛情が巡る環境でこそ、経営者自身のメンタルヘルスも安定し、中長期で結果を出せる。まとめ:まずは2.0を目指して、その先の3.0へ経営者メンタル1.0、2.0、3.0をまとめていきましょう。経営者メンタル1.0 は「不安解消」「課題解決」に追われ、苦しく硬い。経営者メンタル2.0 は「自分のワクワク」「得意を活かし合う」軽やかなモード。経営者メンタル3.0 は「全体の調和」「感謝と愛情が循環する世界観」を目指すステージ。もちろん、いきなり「経営者メンタル3.0」を実現するのは簡単ではありません。まずは2.0を体得し、自分自身が生き生きワクワク経営できる基盤を作る。それができたら、“その先”に待っているのは、より大きな視野で全ステークホルダーとの感謝や愛情のエネルギー交換を楽しむ3.0の世界観です。物質主義や資本主義だけにとらわれず、精神面・心の豊かさを含めた経営を行うと、驚くほど周囲が協力してくれたり、想像以上の成果が出たりします。現に2020年以降、私自身がこの視点を強く持ったことで爆速成長に繋がった実感があります。あなたもぜひ「経営者メンタル3.0」の入り口を意識してみてください。社員やパートナーの幸せ社会や顧客への深い感謝そして何より、自分自身に対する愛情や感謝これらが巡り合うとき、企業や組織は一段と持続的に発展し、心からやりがいを感じながら結果を出し続けることができるはずです。数字だけでなく、全体が笑顔になれる経営を一緒に目指していきましょう!PS:なぜ今、経営者メンタル3.0を伝えたいのか私自身、エグゼクティブコーチとして日々多くの経営者を支援しています。特に「経営者メンタル2.0」を実践し、インナーモチベーションを正しく理解した上で、得意を伸ばし・苦手は任せる形で組織運営を行うと、見違えるように経営が加速するケースを何度も目の当たりにしてきました。実際に“経営10倍成長”を達成されたクライアントさんも少なくありません。ただ最近、支援の場で強く感じるのは、*「そもそも自分(経営者)の本質や、自社の存在意義を問い直す必要がある」*ということです。時代や市場の変化がますます激しくなるなか、過去の成功体験や常識に縛られてしまうと、無意識のうちに“ズレ”が大きくなり、組織全体に停滞感が生じやすくなるんですね。そのズレを解消し、もう一段高いステージで社会と調和して持続的に発展していくためにこそ、「経営者メンタル3.0」の世界観を明確に言語化してお伝えする必要があると感じました。2025年2月時点で、改めてこうした考え方を発信しているのは、時代の変化がますます加速する今だからこそ、経営者の内面や組織の本質を見直すチャンスが大きいと考えているからです。ぜひ、この記事をきっかけに「自分の本質とは何か?」「自社の本当の存在理由は何か?」「今の事業や組織は、時代とのズレを起こしていないか?」といった視点を取り入れてみてください。その先にこそ、“全体の調和”の世界観があり、ひいてはあなた自身も組織も、より自由で豊かな成長が見えてくるはずです。私も引き続き、経営コーチとしてそのお手伝いをしていきたいと思っています。【関連記事】【音声】「前年比◎%成長にとらわれて、自分を見失う」エグゼクティブコーチRADIO/経営者あるある#002【おすすめ記事】経営者が自己犠牲マインドを手放した先にある「静かな、るんるんモード」って何?【おすすめ本】なぜ私は『守りの経営』をすすめるのか?停滞中の経営者こそ、実は守りを全方位で見直すべき【人気の記事】なぜ経営者は『ロジカル思考だけ』だと行き詰まりやすいのか?『なぜ私は4年間、コーチングで「遊びの時間」を大切にしているのか 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