【メンタルケア】マイナス感情に揺さぶられてしまう経営者さんに「過去の自分への手紙」をおすすめする3つの理由とは?こんにちは、エグゼクティブコーチの野中祥平(のなさん)です。今日のテーマは、「セルフメンタルケアとしての『過去の自分へのお手紙ワーク』」です。経営をしていると、「何だかイライラする」「やたら不安になる」「人間関係に妙なモヤモヤが…」といったマイナス感情に振り回されてしまうことはありませんか? 実はその原因の一部が、“過去に癒されていない自分の感情”にあるかもしれません。そこで今回は、私自身も繰り返し取り組んでいる「過去の自分への手紙」ワークについて、Q&A方式で解説します。ふっと湧いてくるネガティブ感情や自己否定感が“実は過去の体験が引き金”だと気づけば、今を生きる足かせを外すきっかけになるはずです。ぜひ参考にしてみてください。Q1. 「過去の自分への手紙」とは何ですか?A: 過去に傷ついたり、嫌な思いをしたりして、今でも心に残っている“当時の自分”に向けて手紙を書くワークです。ポイントは、“ありのままの感情”をしっかり書き出し、そのうえで「ごめんね」「ありがとう」「愛しているよ」と最後に受容や肯定の言葉を添えること。この手紙ワークを通じて、当時味わえなかった感情を発散し、癒し、手放すことで、今の自分が抱えているマイナス感情を軽くしていきます。経営者の方にとっては、次のチャレンジに踏み込む“メンタルの土壌”を整える効果が期待できるんです。Q2. なぜ経営者にとって有効なのでしょうか?A: 経営者は常に意思決定の連続です。組織・数字・人間関係…多角的に頭を使うだけでなく、自分自身の感情とも向き合わなければなりません。ところが、過去に抱えてきた小さな失敗体験や、家族との確執、学生時代のトラウマなどが“今の行動や考え方”に影響していることは意外と多いんです。• プロモーションが失敗した時、すぐに自己肯定感が下がってしまった→ 実は「親に褒められなかった過去の体験」から“自分は認められない”と思い込みが強化されていた• 不安になるとガチガチに計画を立てまくる経営者→ 「子どもの頃、『ちゃんとしなさい』と厳しく言われ続けた影響」で、少しの無計画を許せず苦しくなっていた• 人の役に立たないと価値がないと感じ、必要以上に相手に合わせて疲弊してしまう→ 学生時代、周囲に認められることでしか自分の存在価値を確かめられなかった記憶が引きずられていたこうしたケースで、過去に遡り「あなたは本当によく頑張っていた」「実はこんな思いがあったんだね」と声をかけてあげると、“今”の自分が抱えている負の感情がほどけていき、前向きに経営判断を下せるようになるのです。Q3. どういう時に取り組めばいいのでしょう?A: “マイナス感情に揺さぶられた時”が一番のサインです。たとえば:• 「比較して落ち込みが激しい…」• 「お金を受け取ることに無意識のブロックを感じる…」• 「完璧を目指しすぎて前に進めない…」• 「組織のメンバーにイライラしてしまい、感情コントロールが難しい…」こういう時こそ、“過去のどんな出来事が影響しているか”を手紙ワークで探ってみてください。Q4. 実際にどうやるの? ステップを教えてA: 以下の5ステップが基本形です。30分から1時間程度はかかると思います。嫌な出来事TOP3を書き出す過去の失敗、対人関係のトラブル、恋愛のつらい経験など、今なお心がザワつく記憶を3つほどピックアップします。当時の自分に手紙を書く「あのとき、どう感じていた?」「実はこうしてほしかったよね?」など、汚い言葉も含めて本音全開で書き出します。最後は「ありがとう」「許す」「愛しているよ」といった癒やしの言葉を添えて締めくくります。当時関わっていた相手に宛てても書いてみる(必要なら)「あの時あなたに言われた一言が、ほんとに悔しくて辛かった」など、感情をしっかり出す。そのうえで「当時は嫌だったけど、もう手放すね。許すよ。ありがとう」と終わらせるのがポイントです。感情を“とことん”味わう書いているうちにイライラしたり涙が出る場合がありますが、むしろそれはしっかり外に出してあげるチャンス。感情を否定せずに受け止めると、深いデトックスにつながります。手紙を保管or破棄はお好みで書いたものをしばらく取っておきたい人もいれば、ビリビリに破いて手放す人もいます。自分に合った方法でOK。Q5. やってみたけど、合っているか不安…「これでOK?」A: はい、まずはそれでOKです。ワーク直後に「何だかスッキリしない」「本当にこれであってるの?」と思うこともあるかもしれません。でも、少しでも過去の感情と“今の自分”を切り離す感覚が得られれば第一歩成功!じわじわと数日かけて“あれ、前より落ち込む度合いが軽くなったかも?”と気づくケースも多いです。一度で目覚ましい変化が起きる方もいるし、定期的に繰り返すうちにじわじわと効果を実感する方もいます。Q6. 1回で何かが変わるもの? それとも継続が必要?A: 個人差があります。1回で驚くほどブロックが外れる人もいれば、繰り返すことで少しずつ変わる人もいます。実際、過去の癒やされていない感情に気づくことはパワフルです。多くの方は「今の悩みは今の問題」と思いがち。でも実は「子どもの頃に育まれた無価値感」や「学生時代に受けた孤立体験」などが無意識レベルで影響していることがある。だからこそ効果は絶大なんです。何度か継続してみると、より深い部分が解放されることが多いですね。繰り返す自己犠牲感や、繰り返す不安感などは、どこかのタイミングでこのワークに取り組むのがおすすめです。「あれ、ていうか、そういう感情を自分で作り出してないか?むしろわざわざ自分からそういう感情を味わおうとしてないか?」と俯瞰してみれるようになってくると、「当時はそういう感情になったけど、今は別にその感情になる必要なし!」と切り分けやすくなりますよ。Q7. 前提知識としての「インナーチャイルド」「インナーペアレント」って?A: 「過去の自分への手紙」ワークには、心理学の“インナーチャイルド”や“インナーペアレント”という考え方が関係しています。ざっくり言うと、私たちの中には子どもの頃の本音(インナーチャイルド)や、親の価値観を内面化した声(インナーペアレント)が存在し、これらが現在のマイナス感情や行動パターンに影響を与えているかもしれない、という考え方です。• インナーチャイルドの声「こうしてほしかった」「あのとき傷ついたんだ」など、子どもの頃に抑え込んだ本音。→ まずは認めて癒やしつつ、「いまの自分」とは別の存在だと理解することが大切です。• インナーペアレントの声「~すべき!」「~しないとダメ!」という過度な縛りや厳しさ。→ いまのあなたに必要な面があれば活かす、不要なら手放すという選択をしてOK。どちらも「感じきって手放す」ことが核心ポイント。感情を無視しすぎると逆に爆発し、のめり込みすぎると抜け出せなくなる。程よい距離感で「これは昔の解釈が原因かも」と気づき、手紙ワークなどで過去を整理すると、今の暮らしや経営判断で余計な不安やイライラに支配されにくくなるのが最大のメリットです。Q8. どんな場所や道具がおすすめ?A: おすすめは、自宅の静かな場所やオフィスの落ち着いた空間など、“人目や雑音を気にしなくて済む場所”。泣いたり怒鳴ったりしても大丈夫な環境ならベストです。道具としては紙とペンが一番シンプルですが、パソコンやスマホメモでもOK。ただし、アナログのほうが“感情を味わう”には向いているという声も多いですね。筆圧や書きながら湧き上がるものがダイレクトに反映されるからかもしれません。Q9. 書いている途中で涙が出てきました…これって続けるべき?A: 涙が出るのは“心が深い部分を開き始めた”サインでもあります。大丈夫ならそのまま続けてみましょう。ただし、感情が強すぎて苦しくなったら無理はしないでください。途中で一旦休憩して、落ち着いたら再開するでもOKです。大事なのは自分のペースを尊重すること。Q10. 終わった後はどうすればいい? やりっぱなしはNG?A: “やりっぱなし”でも効果はありますが、特に深いトラウマやネガティブが出てきた場合、信頼できるコーチやカウンセラーにサポートしてもらうと安心です。ちなみに、コーチやカウンセラーは“あなたの潜在意識を書き換える魔法使い”ではありません。あくまで「一緒にどう向き合うか」「安全に感情を扱うか」をサポートする存在です。• セルフケア:一人で取り組む場合は、終わった後にお茶を飲むなどリラックスできる時間を設け、感情を落ち着かせてください。• 専門家との対話:特に苦しい記憶に触れた場合は、無理せず専門家に相談しましょう。Q11. 具体的な事例ってありますか?A: 以下は、実際に私が出会ったクライアントさんの“ぼかしたエピソード”です。読んでみると「そういうことあるかも…」と思えるはず。プロモーション失敗で自己肯定感が急降下• 過去に親から「ちゃんと結果を出さなきゃダメ」と言われ続けた経緯があり、失敗すると「やっぱり自分はダメだ…」と自己否定が強くなるパターンでした。• 過去の自分への手紙で「何があっても君の存在に価値はある」と語りかけられるようになり、失敗からのリカバリーが早くなった。不安になるとガチガチに計画を立てまくる• 幼少期に「テストの点が悪いと叱られた」経験を繰り返しした結果、些細なミスが怖くなっていた。• お手紙で「子どもの頃の自分」に対して「あのときはお母さんも不安だったから厳しかっただけ。あなたは十分に頑張ってるよ」と書き出すうちに、計画が崩れても必要以上に自分を責めなくなった。人の役に立たないと落ち込んでしまう• 学生時代に“周りに合わせていないと仲間外れになる”という恐怖を抱えた経験が根っこに。• 「あの頃の自分は一人になるのが怖かったんだよね。でももう大丈夫。今は自分の個性を大切にしながら人と関われるよ」と手紙を書いたことで、“自分がどうしたいか?”を優先できるようになり、経営の意思決定でも他人軸に振り回されにくくなった。Q12. 相手への手紙って具体的にはどんな感じ?A: たとえば、昔、いじわるを言われた友人や厳しかった親、認めて欲しいタイミングで認めてくれなかった親、元恋人などに向けてこんなふうに書きます。「〇〇へ」「正直に言うと、あの時あなたに言われた一言が本当にきつかった。自分を全否定されたようで、悔しくて悲しかった。ずっと忘れられなかったんだ。でも今振り返ると、あなたも余裕がなかったのかもしれないね。私はもうその時の感情を手放そうと思う。許すって決めたよ。今まで自分の成長のきっかけをくれて、逆にありがとう。さようなら。そして、ありがとう。」こう書くことで“過去の相手とのしこり”を自分の中で昇華し、前向きに進みやすくなります。Q13. このワークを繰り返すと、本当に経営が変わるんですか?A: 経営は“数字”や“戦略”の話だけに思えますが、実際は“心の在り方”が大きく影響します。自分の中に“見えない不安”や“自己否定”を抱えたままだと、新しい取り組みへの挑戦をためらったり、メンバーや取引先に対して攻撃的になってしまったり……。手紙ワークで過去を癒やしていくと、自己肯定感が高まり、メンタル面に余裕が生まれるんですね。その結果、視野が広がり、人への接し方も柔軟になり、大きな決断も思いきり踏み込めるようになる――そうしたポジティブサイクルが経営全体を加速させます。まとめ:「過去を癒やす」は、「今を自由にする」近道過去の痛みを放置したまま走り続けると、どこかで息切れしたり、同じパターンの失敗やイライラを繰り返しがち。だからこそ、「過去の自分への手紙」でブレーキを外すことは、大切な“メンタル投資”なんです。• Q&Aで見てきたように、やり方はシンプル• 感情が込み上げても大丈夫、むしろデトックスできるチャンス• 専門家(コーチ、カウンセラー)は“対話の安全な場”を提供してくれる「1回で激変する人」「じわじわ数回に分けてやる人」など、変化の速度は人それぞれ。でも、繰り返し書くたびに“過去と今の自分の感情”がほどけていくのを感じられるはずです。コーチングというとどうしても「目標達成!」「未来を変える!」といったポジティブな側面ばかり注目されがちです。しかし、マイナス感情や内面との向き合い方というのは私が大事にしている1つのテーマで、経営者が本質的な加速をしてくためには必ず向き合うテーマです。私、野中祥平がこういう世界観を大事にしている経営コーチであるということも、少しでも伝わっていたら幸いです。PS:やり方はシンプルでも、効果は絶大私自身、過去の家族や部活の経験、恋愛の傷を何度も手紙に書いてきました。そのたびに「ああ、まだこんなに根強く残ってたんだな」と驚きながらも、“過去を許す”たびにエネルギーが湧いてくる感覚がありました。経営を加速させるために“未来志向”はもちろん大切。でも、時には“過去を受け入れる”ことも、意外なほど大きな前進をもたらします。もし今、マイナス感情にぐらついているなら、ぜひペンを取り出して“当時の自分”に優しい言葉をかけてあげてくださいね。「メンタルケア」関連のおすすめ記事メンタルケア完全ガイド(まずはこれを読んでみて)経営者のメンタルケア完全ガイド|停滞感・自己犠牲・エネルギー低下を根本解決する方法停滞感ケア【メンタルケア】経営者が過去のパターンを断ち切って成長する方法|現状維持バイアスからの脱却術【メンタルケア】経営者の停滞感を成長のサインに変える方法|マイナス感情から気づく2つの飛躍パターンマイナス感情のケア【メンタルケア】経営者の自己犠牲思考を根本解決|繰り返す苦労シナリオを1時間で手放す方法【メンタルケア】経営者の不安・焦り・イライラを根本解決する「過去の自分への手紙」ワークとは?心の重荷を手放すコツ自己犠牲感のケア【メンタルケア】経営者の自己犠牲マインドを手放す方法|『静かな、るんるんモード』で飛躍する秘訣【メンタルケア】経営者の自己犠牲思考を根本解決|繰り返す苦労シナリオを1時間で手放す方法経営者ストレスケア経営者のストレス半端ない毎日を変える習慣とは?メンタル弱い人こそおすすめ【メンタルケア】経営者のメンタルが鋼である必要はない理由|繊細さを武器にする経営スタイルで自分らしく成功する方法経営者孤独感ケア孤独な経営者がAI相談に依存して「自分の本質とずれる」危険な現象|AI時代の経営者メンタル管理術とは?経営者の孤独感を根本解決する方法|誰にも相談できない悩みから解放される秘訣【メンタルケア】経営者が『遊びの時間』を大切にすべき理由|意思決定力を高める意外な習慣とは?【関連記事】【音声】「前年比◎%成長にとらわれて、自分を見失う」エグゼクティブコーチRADIO/経営者あるある#002【おすすめ記事】経営者が自己犠牲マインドを手放した先にある「静かな、るんるんモード」って何?【おすすめ本】なぜ私は『守りの経営』をすすめるのか?停滞中の経営者こそ、実は守りを全方位で見直すべき【人気の記事】なぜ経営者は『ロジカル思考だけ』だと行き詰まりやすいのか?『なぜ私は4年間、コーチングで「遊びの時間」を大切にしているのか ー 経営者の意思決定力を高める意外な習慣』停滞感気味な経営者必見!実は大きな飛躍の前に起こる2つのパターンとは?