こんにちは。株式会社NonaCanvas代表・エグゼクティブコーチの野中祥平です。2月16日にTOKYO創業ステーション丸の内で開催された、25歳以下の若手起業家を目指す方々向けのワークショップ。その内容を3回に分けてお届けしています。前編では、私がMimiTVという美容メディアの事業責任者として経験した「相談による事業のV字回復」(売上1億円の赤字事業を、5年で売上10億円以上まで成長させた事例)や、大学生時代の「相談不足による機会損失」について、具体的な事例を交えながらお話ししました。中編となる今回は、その経験を踏まえて、より実践的な内容に踏み込んでいきます。テーマ2:相談下手な人の特徴とは?テーマ3:どうすれば相談上手になれるのか?テーマ4:起業支援施設をどう活用すればいいのか?これらの問いに、具体例を交えながら答えていきます。また、TOKYO創業ステーションの野上さんとの対談を通じて、支援施設の具体的な活用法もお伝えできればと思います。相談の「コツ」を知ることで、起業準備の効率は大きく変わります。ぜひ最後までご覧ください。テーマ2:相談下手による機会損失ここでは、参加者からの質問を交えながら 「相談しないことでどんなデメリットがあるのか?」、そして 「どうすれば相談ベースに切り替えられるのか?」 を掘り下げます。私(野中)が大学生の頃に体験した“もったいない話”や、赤字事業の再生を通じて気づいたポイントを軸に、3つのQ&Aをまとめました。Q1.「相談しなかったことで逃したチャンスは?」実は私、大学生時代に本を出版して6万部も売れたんです。でも、その先の展開ができませんでした。当時を振り返ると、本の出版以外のマネタイズ方法がわからなかったんですね。今考えると:塾をやる親向けのコーチングサービスを展開するブログにスポンサーをつけるこういった選択肢があったはずなんです。しかし当時は「お金儲けにはしたくない」という謎のこだわりもあって、趣味の延長で終わらせてしまいました。友人と「ワイドビジョンという、視野を広げられるような理念の会社を作りたいね」なんて話をしていたのに、結局それも実現しませんでした。もしあのとき、起業家や大人のメンターなどに 「実は本が売れてるんですけど、どうしたらいいですか?」 と聞いていたら、おそらく 数年早く起業していた可能性も高いですよね。そう思うと、「相談しなかったことで丸ごとチャンスを逃した」というのは本当にもったいなかったと感じます。本が売れるなんて、やろうと思ってもできない人が多い中、そこまでは行けたのに“その先”がなかった。これが僕の中では “相談しなかった最大の機会損失” ですね。Q2.「相談が下手=どんな状態?」会場の皆さんに聞いてみたいんですが、「相談、結構するよ」という方はどれくらいいらっしゃいますか?...2、3割くらいですね。私自身、人に全然相談しない時期があったように、相談上手な人とそうでない人って結構分かれるんです。これだけSNSやAIが普及している時代でも、人に相談するのは依然として大切だと思っています。相談下手な人には、主に3つの特徴があるんです。まず1つ目が「自分で抱え込む傾向」があるということ。「自分で考えなきゃ」「自分で整理しなきゃ」と思い込んでしまうんですよね。実は私も、むしろ悩むのが好きなくらいでした(笑)。2つ目が「人の目を気にしすぎる」こと。「恥ずかしい」「笑われそう」という不安があったり。特に今の時代は、SNSでいろんな人とつながっていますよね。「あいつ変なことを始めた」って言われそうで怖い、という気持ちも分かります。そして3つ目。これが一番致命的なんですが、「視点が増えない」んです。情報が集まらないから遠回りになってしまう。新しいアイデアや可能性にも気づけない。ビジネスで相談しないデメリットって、こういう「情報不足→遠回り→機会を逃す」というパターンに陥りやすいんです。最悪の場合、自滅して再起不能な状態になることすらある。ここで言う「自滅」というのは、誰にも相談せずに抱え込んだ結果メンタルを病んでしまったり、赤字で個人的に借金を抱えてしまったりするケース。外部要因というより、経営者自身が誰にも相談しなかったことが最終的な原因になることが多いんです。Q3.「どうやって“相談ベース”に切り替えた?」今の私は、めちゃくちゃ相談するようになりました。さっきお話しした通り、もともとは人目を気にしてしまったり、自分で考える方が美徳だと思い込んでいたりしたんですが、ある出来事をきっかけに大きく変わることができたんです。その転機となったのが、MimiTVの経営改革でした。1億円かけて買収した赤字事業を、絶対に回収しなければいけないというプレッシャーがあったんです。3年かけて1億円の利益を出して回収する、という責任があった。そうなると「恥ずかしい」とか言っている場合じゃないですよね。プライドを捨ててでも、相談できる人には何でも相談していこう、と決意しました。相談のプロセスで気づいた重要なポイントこのMimiTVでの経験を通じて、相談には思わぬメリットがあることに気づきました。1つ目は、人に相談しようとすると必然的に「言語化」が必要になるということ。自分の状況を整理せざるを得なくなるんです。調べ物や分析もするようになる。これが意外と大事なポイントでした。2つ目は、相談する日時が決まると、それが良い意味での「締切」になるということ。そこまでに情報をまとめようと自然と動き出すんです。そして3つ目。これが最も重要なんですが、行動のループが回り始めること。相談して、新しいアクションを決めて、実行して、また相談する。このサイクルが事業を加速させていったんです。結論として、相談すればするほど事業が加速していきました。相談して、次のアクションを決めて、実行して、「こんな結果になったんですが、ここをどうしたらいいと思いますか?」という形で、どんどん行動を変えていくことができたんです。だからこそ、相談しないデメリットを正しく認識することが大切です。遠回りしたり機会を失ったりするより、相談してスピードを加速させていった方が絶対にいい。そう実感できました。(まとめ)「相談下手にならないためには?」相談しないデメリットを理解する情報不足・遠回り・機会損失に加え、最悪の場合はメンタル面や財政面の“自滅”につながりかねない。“恥ずかしい”“笑われたくない”を手放す成果を出すために、プライドよりも“相談”を優先するマインドを育てる。“締め切り効果”で言語化&行動を促進誰かと会うアポが決まるだけで自然と資料や頭の中を整理しやすい。その繰り返しが大きな推進力になる。テーマ3:起業支援施設の活用テクニック(約6分)ここからは、私(野中)が 「起業支援施設のコミュニティマネージャー・野上さん」 にインタビューする形で進めたパートです。前編・中編の中でも特に*「相談相手を見つけるには?」*という質問が多かったので、実際に施設で働く方の生の声を伺いました。Q1.「起業支援施設ってどんなサービスがある? スタッフに何を話すの?」野中:「起業支援施設」というと、行政が運営している真面目なセミナーのイメージが先行しがちで、何をどう利用したらいいのか分からない、という方も多いと思うんですよね。そこでまず、 “そもそもどんなサービスがあるの? 相談するときは何を話すの?” という点を、野上さんに教えていただければと思います。野上さん(コミュニティマネージャー):東京都内だけでも公的・民間含めて多くの起業支援施設があります。無料セミナーや個別相談、専門家とのマッチング、こうしたイベントの開催など、*“起業を考える人の総合窓口”として動いているんですよ。たとえば、融資や補助金について訊ける場もあれば、事業計画をブラッシュアップするアドバイスをしてくれるスタッフも常駐しています。「いや、正直まだ何から質問すればいいか分からない……」という方も大歓迎です。“分からないことが分からない”*状態でも、まずは声をかけてもらえればOK。何気ない雑談からでも、こちらがヒアリングを重ねて情報を整理するお手伝いをしますので、最初から完璧にまとめようとしなくても大丈夫です。野上さんコメント:「事前にメモだけ用意してくれれば十分ですよ。“こんなアイデアがあるけど、どうすればいいか分からない”など、ざっくりでも構わないのでシェアしていただければ、こちらも案内しやすいです。」野中:なるほど。相談する敷居が思ったより低いんですね。僕も学生時代は「ある程度しっかりまとめなきゃ相談しちゃいけないのかな」みたいに思ってました。でも最初から全部まとめられるなら、そもそも起業支援施設の必要がないかもしれませんしね(笑)。「困ってるけど何を聞けばいいかすら分からない……」という人は、むしろ施設に来たほうが、全体像を教えてもらえて早そうだなと思いました。Q2.「うまく使いこなして成果を出す人の共通点は?」野中:僕も経営者や起業家をコーチングしていると、*“頼れる資源を全部使う人”*ほど成功確率が高いなぁと感じるんですが、野上さんの目から見て「起業支援施設を使いこなしているな」という方の共通点はありますか?野上さん:はい、3つ挙げるなら、まず “こまめに状況を報告してくれる” という点です。施設のスタッフとしては、来られた方が今どんなステージなのか、何がネックなのかを詳しく知るほど、より的確なサポートや情報提供ができるんですね。たとえば「あ、最近こういう補助金が始まりましたよ!」とか「この専門家を紹介したら役立つかも」と思いつくんです。次に、“イベントやSNSを活用して仲間や専門家を探す” 姿勢を持っていること。結局、起業に限らず人との繋がりが大きな武器になりますから。うまくいっている方って、オフライン・オンライン問わず交流の場に飛び込むのが上手なんですよね。最後に、“使えるものは全部使う” という柔軟さです。プライドや「自分でやらなきゃ」という意識が強いと、せっかく良い情報やプログラムがあってもスルーしてしまう人がいます。逆に「どんな些細なことでも教えてほしい!」「ここに行けば何か新しい出会いがあるかも」と自発的に活用する人ほど、成果を出すのが早いと感じますね。野上さんコメント:「一人で抱え込まず、困ったらすぐスタッフに声をかけてくださる方ほど、情報を有効活用できます。こちらも“こんな助成金・補助金があるので受けてみませんか?”と提案しやすいです。」野中:すごくよく分かります。僕も赤字事業を再建するときに、どれだけ周りを巻き込めるかが勝負だな、って感じたので。*“プライドより成果”*を優先する人がどんどん物事を進められる、というのはコーチングの現場でもすごく実感してます。(まとめ)「起業支援施設をうまく使うポイントは?」遠慮せずにスタッフへこまめに報告・相談する進捗や課題を共有しておくほど、タイムリーなサポートを受けやすい。SNSやイベントで専門家・仲間を積極的に探す起業家同士で情報交換しあうことで、思わぬコラボやアイデアが生まれる。“使えるものは全部使う”というマインドプライドや恥ずかしさを手放し、学べる機会をどんどん活用する。テーマ4:相談時の心構え(約6分)ここからは、「具体的に相談するとき、どんな心構えで臨めばいいのか?」 というパートです。私(野中)は「聞くだけ聞いて終わる」状態は非常にもったいないと思っていて、いかに “行動に結びつける” かがカギだと考えています。以下のQ&Aで、相談前と相談後、それぞれ意識してほしいポイントをお伝えしました。Q1.「相談前って、どうすればいい?」時間が限られているので、このあとのワークショップで実践的な部分は体験していただきますが、特にマインド面で重要なポイントをお伝えさせてください。まず大切なのは、「事前の整理はゆるめに」という考え方です。現状や理想、課題やギャップなど、ざっくりでいいので整理しておく。実はここでAIの力も借りられます。私自身、ChatGPTを毎日30分から1時間くらい使っているんですが、こんな使い方がおすすめです。「相談に乗ってください。今度こういう相談をするので、私の脳内整理のために質問を私にしてください」というふうに指示を出すんです。つまり、ChatGPTに質問させて、その質問に答えて、それを整理してもらう。これがとても効果的なんです。ただし、ここで一番気をつけてほしいのが「完璧主義は禁物」ということ。「整理しきってから相談しなきゃ」と考えすぎると、メンタルが重くなってしまう。最悪「よくわからないけど助けてください」でもいいんです。Q2.「相談した後って、どうするのがいい?」野中:ここを軽視しがちな人が多いんですが、*「相談して満足しちゃう」*のが一番もったいないパターン。大事なのは “決断と行動” です。例えば「こうすれば売上アップに繋がるかも」と言われたら、「じゃあ来週までに一度試してみよう」「3人に声をかけてみよう」と行動をセットにしないと、具体的に何も変わりません。さらに、その行動の結果を見て もう一度相談して軌道修正 する――このループを何度も回す人ほど早くステップアップしていく印象ですね。⭐️ 理想的な相談のループはこうです: 「整理する → 相談する → 決断する → 行動する → 気づきを言語化」なぜこのループが重要なのか。単純に相談だけで終わってしまうと、何も変わらないんです。行動して初めて新しい気づきが生まれる。その気づきを次の相談につなげることで、成長が加速していく。実は私が今やっているエグゼクティブコーチングという仕事は、まさにこのループを1万倍のスピードで回すサポートをする仕事だと思っています。一人では気づけない視点での質問をし、対話を通じて新しい決断や意思決定を促していく。それによって、このループをどんどん加速させていくんです。(まとめ)「相談時に大事な心構えは?」最後に3つのポイントでまとめさせていただきます。相談前の整理は大事です。ただし、完璧を求めすぎないこと相談後の決断と行動が極めて重要です。話すだけで終わらせない行動後の気づきを大切に育てること。それを次のステップにつなげていくこのサイクルを意識して回していけば、必ず成長のスピードは上がっていきます。講義パートのまとめここまでお話ししてきた内容を、最後にまとめさせていただきたいと思います。今日の講義パートで一番お伝えしたかったのは、「起業やビジネスを軌道に乗せたい人は、相談しながら軌道修正できる人になる必要がある」ということです。これには5つの理由があるんですね。まず1つ目。行動だけでも、考えるだけでも、成果は出ないんです。私自身、インフルエンサー時代は考えてばかりで、逆にMimiTV時代は思い切った行動を取れるようになった。でも、その間に「相談」というステップを入れることで、初めて本当の成長が生まれました。2つ目は、相談しないと本当にもったいないということ。情報不足で遠回りしたり、チャンスを逃したり。最悪の場合、メンタル的に追い込まれたり、借金を抱えたりして自滅してしまう。こういったリスクを避けるためにも、相談は必要不可欠なんです。3つ目が、相談することで脳内が整理されるということ。誰かに話すために言語化しようとすると、自然と調べ物をしたり、状況を分析したりするようになる。これが意外と大事なんです。4つ目。人を頼ることや、使えるものは全部使おうという発想ができるようになります。今日お話しした起業支援施設もそうですし、専門家や先輩起業家とのネットワークも広がっていく。そして5つ目。相談することで、新しい決断や行動が生まれやすくなるんです。視野が広がって、「こうしてみよう」という具体的なアクションにつながっていく。この5つの要素が重なることで、起業やビジネスの成功確率は大きく上がっていくと私は確信しています。後編に向けて次回の後編では、ワークショップの模様をお届けします。参加者同士で実際に相談を体験し、具体的な相談の進め方や、良い質問の仕方を学んでいきます。野中が実際のコーチング経験をもとに、「相談の場」をどう活用すれば効果的なのか、その具体的なテクニックもお伝えしていきますので、ぜひご期待ください。なお、前編をまだご覧になっていない方はこちらから、野中の経営経験から学んだ「相談の重要性」について詳しくご覧いただけます。今回のイベントレポートのまとめイベントレポートは全部で3つあるので、合わせて確認してみてください。前編記事:【前編】(イベントレポート)【U25限定】若手起業家直伝!たった2時間で「起業準備のコツ」が学べるワークショップ】中編記事:【中編】(イベントレポート)【U25限定】若手起業家直伝!たった2時間で「起業準備のコツ」が学べるワークショップ】後編記事:【後編】(イベントレポート)【U25限定】若手起業家直伝!たった2時間で「起業準備のコツ」が学べるワークショップ】参考リンク東京創業ステーション