こんにちは、元上場企業役員・エグゼクティブコーチの野中祥平です。M&Aした赤字事業を5年で売上1億→10億に成長させた経営経験を元に、事業と組織の両面から中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長のサポートをしています。仕事を渡したのに、相手が困ってしまい、結局また自分が引き取る。そんな経験のある経営者・No.2の方へ、今日は任せる前後の関わり方を考えます。 同じように悩んでいる方が、ご自身の状況を考えるヒントになったら嬉しいです。私が考えていたのは、仕事を渡すことと、相手が育つことでした私は上場企業のトレンダーズ株式会社で、2023年まで執行役員として事業を統括していました。担当していたのは、美容SNSメディアMimiTV(現在MimiBeauty)。M&A後の事業再建から、商品開発、営業、組織づくりまで関わってきました。私自身も仕事を抱え込みました。一方で、権限委譲の名のもとに大きな仕事を渡され、困ってしまう人の姿も見ていました。だから、自分が楽になるために一気に渡すやり方にはしたくありませんでした。コーチとの対話では、半年後にどんな状態をつくりたいか、そのために今どんな小さな仕事から渡せるかを考えていました。会議でも、いきなり「どう思う?」と聞くのではなく、次に聞きたいことを事前に伝え、本人の案を考えてきてもらう。そんな関わりへ変えていきました。任せられない相手をどう変えるかだけでなく、相手が考えられる条件を、自分がつくれているか。私が受けた対話は、社員への関わり方を考え直す材料にもなったんです。次の確認項目も、その経験から提案したいことです。仕事を渡すだけでは、判断できる状態にならない期待する成果と本人が決められる範囲任せる前に、まず「どうなればよい仕事なのか」を揃えます。売上なのか、利益なのか、既存顧客との関係なのか。複数あるなら、迷ったときに何を優先するかも話します。ここで、細かな手順をすべて指定する必要はありません。ただ、成果への期待が曖昧なままでは、相手は自分なりに判断し、その判断が後から否定されることになります。それが続けば、先に確認した方が安全だと感じるのも自然です。次に、本人が決めてよい範囲を考えます。提案内容を考えるところまでか、顧客に提示するところまでか、条件を変更するところまでか。「任せた」という一言の中に、いくつもの段階があります。たとえば提案は任せても、価格の例外判断は上司が持つという設計もあります。これは不十分な委譲とは限りません。今の経験や事業上のリスクに合わせた段階です。大事なのは、どこまで渡したかを双方が理解していることです。相談する条件と確認するタイミング「困ったら相談して」と伝えるだけでは、何を困った状態と見なすかがずれることがあります。相談が遅いと感じる側と、自分で解決すべきだと思っていた側。その間にある前提を、先に話しておきたいところです。数字が想定から外れたとき、顧客と約束した期限に間に合わないとき、他部署の協力が必要になったとき。ここで挙げたものは整理の例ですが、実際に起こりそうな場面を使って、相談の条件を確認できます。同時に、確認する時期も考えます。毎日細かく見るのか、一週間後に進め方を振り返るのか、最初の提案だけ一緒に見るのか。任せる仕事の難しさや本人の経験によって、必要な支援は違います。相談を受けることと、仕事を取り上げることは同じではありません。相談したら全部上司がやってしまうなら、本人が考え続ける機会が失われます。どこを一緒に整理すれば、本人が次を決められるか。その視点を持っておくと、任せた後の会話が変わります。任せた後の会話を設計する相手の案を事前に考えてもらう私が変えた関わりの一つは、会議で聞きたいことを先に渡すことでした。その場で突然意見を求めると、考えがまとまらない人もいます。次回、こういうテーマについて案を聞きたいと伝えておけば、考える時間を持てます。私自身がコーチングを受ける中で、答えを急いで渡されるより、自分の考えを深める時間を持つことに価値を感じていました。その経験が、人に対しても同じように関わってみようという行動につながりました。ただし、情報を持たない相手に問いだけを渡しても、考えようがありません。目的や背景、自分が知っている制約は共有する。そのうえで本人の案を聞く。質問すること自体が目的ではなく、判断できる条件をつくることが目的です。戻ってきた仕事から、設計を見直す仕事が戻ってくると、「やっぱり任せられなかった」と結論を急ぎたくなります。でも、一回戻ってきたことだけで、相手の可能性まで決めなくてもよいと思います。期待した成果が伝わっていたか。必要な情報はあったか。本人が決めてよい範囲は揃っていたか。途中で相談する機会はあったか。そして、仕事量に無理はなかったか。順に見れば、どこを直せばよいかが具体的になります。私が意識するようになったのは、半年後に任せられる姿を考えながら、まず小さな仕事を渡すことです。今日の完成度だけで評価すると、経験のある自分がやる方が早いに決まっています。未来の役割を育てるために、今の関わり方を設計する。その時間軸が必要でした。話し合いに持っていく、一枚のメモ次に誰かへ仕事を渡すなら、以下を空欄のあるメモにして、一緒に埋めてみてください。これは契約書や人事制度のひな型ではなく、期待のズレを見つけるための話し合い用です。・今回お願いしたいことと、その理由。・まず目指す成果、今回は求めないこと。・本人が決めてよいこと、相談してほしいこと。・必要な情報や協力者。・最初に試す範囲と、振り返る日。上司が完成させて渡すより、相手がどう理解したかを聞くことに意味があります。「この部分はできそうだけれど、ここはまだわからない」という話が出れば、失敗する前に支援を調整できます。相手の余白も確認する任せる側が忙しいと、相手の仕事まで見えなくなります。新しい役割を加えるなら、今の仕事を減らすのか、進め方を変えるのか、協力者を増やすのかも考えたいところです。私は、自分の余白をつくるために周囲が苦しくなる形にはしたくありませんでした。任せることが相手の成長につながるには、挑戦できる範囲と支援が必要です。本人が断りにくい関係であれば、なおさら「大丈夫です」の一言だけで判断しない方がよいでしょう。自分の不安も、設計の材料にする任せる条件を整理しても不安が残ることはあります。そのときは、不安をなくしてから任せようとするより、何が起きると困るのかを具体的に考えてみます。顧客への影響か、数字への影響か、自分の存在意義が薄れる感覚か。混ざっているものを分けると、必要な対応も違ってきます。顧客への影響なら、小さな範囲で試すことができます。情報不足なら共有を増やせます。自分の役割への迷いなら、次にどんな仕事を担いたいのかを考えるテーマになります。こうした話は、経営者自身のコーチングで扱える領域です。任せる側にも、約束することがある担当者に期待を伝えるときは、こちらが何を支援するかも話しておきたいところです。必要な情報を渡す、初回は一緒に考える、合意した確認時間を確保する。任せる側が何をするかが明確なら、相手も引き受ける条件を考えやすくなります。また、任せた範囲の中で相手が選んだ方法を、後から自分の好みだけで覆さないことも大切です。修正が必要なら、どの目的や条件との関係で気になるのかを説明する。そのやりとりが、次の判断の材料になります。相手に自走を求めることと、こちらの関わりを整えることは、セットで考えたいと思います。YouTubeでも、コーチと一緒に実体験を話しています「AI時代のコーチングラジオ」では、私と、2020年から私のコーチを務めるまいまいさんが、受け手側の実体験も交えて話しています。今回のテーマが気になった方には、「自己犠牲的な経営から、任せて育てる経営へ」の回も参考になると思います。対話の雰囲気や、言葉になるまでのやりとりも、ぜひ聴いてみてください。%3Ciframe%20width%3D%221280%22%20height%3D%22720%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FmwcughmO7kU%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3Eこの回で話していること・仕事を抱え込んでいた頃の自分・コーチと考えた、半年先の任せ方・人に頼り、自分の可能性も育てる変化未解決の経営課題を、次の一歩へ私は、中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長の「未解決の経営課題TOP5」を見える化し、「任せ方・育て方・動かし方」まで決めて、実行速度を10倍にするエグゼクティブコーチングを提供しています。私自身が上場企業役員時代にM&A買収した赤字事業を5年で10倍成長させた時、色々な失敗をしました。顧問もコンサルも頼りました。コーチングも受けました。その過程で学んだこと、自己犠牲しがちな自分自身がコーチングを受けて自己変容してきた経験、そして経営者を支援する中で得た気づきや学びをこのブログでシェアしています。同じ苦しみや悩みを知ってショートカットしてもらい、自分の本音や違和感に気づいて軌道修正がしやすい経営に少しでも近づいてもらえたら嬉しいです。経営課題TOP5を、一緒に整理しませんか現在抱えている経営課題TOP5を整理する「エグゼクティブコーチング初回体験セッション」へ、この記事を読んでくださった方限定で無料ご招待しています。毎月5名限定のため、体験してみたい方はぜひお申し込みください。