こんにちは、元上場企業役員・エグゼクティブコーチの野中祥平です。M&Aした赤字事業を5年で売上1億→10億に成長させた経営経験を元に、事業と組織の両面から中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長のサポートをしています。今日のテーマは、日経新聞の取材を振り返りながら考える、AIと人間の対話との付き合い方です。私自身、AIに夢中になって目的を見失ったこともあれば、AIのおかげで形にできたものもたくさんあります。AIをうまく使いながら、自分の感覚や人とのつながりも大切にしたい方にとって、少し立ち止まるきっかけになれば嬉しいです。私は現在、中小・ベンチャー企業の経営者やNo.2の方と、事業・組織・本人の内面を行き来しながら、重要な問題を一つずつ前に進める仕事をしています。そして、かなりのAIオタクでもあります。ChatGPT、Claude、Gemini、NotebookLM、音声入力AI。仕事でもプライベートでも、毎日のようにAIを使っています。そんな私が2025年、日本経済新聞から取材を受けました。掲載された記事のテーマは、「AIが深める日本人の孤独」でした。記事は2025年11月9日付で掲載されています。あれから約1年。AIは当時より、さらに賢くなりました。そして私自身も、当時よりはるかにAIを使っています。だからこそ今、あの取材で話したことを、もう一度振り返ってみたいと思いました。AIを使わない方がいい、という話ではありません。むしろ逆です。私はAIによって、人生も仕事もかなり面白くなった側の人間です。それでも、AIが便利になればなるほど、人間側に必要になるものもある。最近は、そんなことを強く感じています。実は、この日経新聞の取材そのものが「検索」から始まった取材当日、私は記者の方に聞きました。「僕のことって、どうやって見つけたんですか?」答えはシンプルでした。検索です。当時私は、自分が実際にAIを使って感じたことをブログなどに書いていました。AIを仕事にどう使っているか。AIと相談すると何が起きるか。便利だけれど、自分自身が少し依存しかけた経験。記者の方はそうした発信を見つけ、「AIをかなり使っている」「コーチングという、人間との対話を仕事にしている」「しかも本人がAIにのめり込んだ経験まで書いている」ところに興味を持ってくださったそうです。これは今振り返ると、とても象徴的です。私は最近、自分が実際に経験したことを、きちんと一次情報として残しておくことをすごく大切にしています。一般論ならAIでも書けます。でも、「自分は実際にこうなった」「この判断をして失敗した」「経営者との対話でこんなことが起きた」「そこから考え方がこう変わった」という情報は、その人にしか書けません。今回の日経新聞の取材も、そういう情報を残していたから起きました。私は最初からAIを「相談相手」にしていたわけではないChatGPTを初めて使ったのは2023年です。最初は、文章や書籍制作を手伝ってもらう道具でした。自分が伝えたいことを大量に吐き出して、「これを読みやすく整理して」とお願いする。編集者に近い存在でした。ところが2024年頃から、関係が変わりました。「こういうものを作りたい気がする。でも、自分でもまだよく分からない」という状態でAIに話しかけるようになったんです。その中から生まれたものの一つが「インナーモチベーション診断」でした。人にはHPやMPだけではなく、その人固有の「満たされるポイント」があるんじゃないか。ポケモンみたいにタイプ分けできないか。自然界のモチーフと組み合わせられないか。そんな、友人に話したら「何を言ってるんだ、この人は」となりそうな話にも、AIは延々ついてきてくれました。そして気づいたんです。答えも分からない。問いすら分からない。それでも、とりあえず話せば前に進める。これはすごいことだと思いました。だから私は、どんどんAIに話すようになったそこからAIは、仕事道具だけではなくなりました。育児。猫。料理。仕事。新しいサービス。マーケティング。ちょっとした違和感。以前なら、「まあ、あとで考えるか」と数週間放置していた問題も、とりあえずAIに話せば何か返ってくる。これは、人類にとってかなり大きな進歩だと今でも思っています。悩みを半年放置するより、5分AIに話して一歩動けた方がいい。分からないから何もしないより、AIと一緒に小さく試した方がいい。私は今もそう思っています。ところが2025年、私はAIに「迷子」にされた問題が起きたのは、自分の会社の集客について悩んでいたときでした。SEOについて詳しくなかった私は、「自分のホームページ、もっと検索で評価されるんじゃない?」とAIに相談し始めました。すると、「野中さんにはこれだけ実績がある」「お客様の声もある」「きちんとSEO対策すれば集客できます」と、どんどん可能性を示してくれます。私はうれしくなりました。そして、このページも直そう。あのページも直そう。SEO記事も作ろう。検索順位を上げよう。と、2週間くらい夢中になりました。ところが、定期的に話していた人間のメンターにその話をしたら、15分くらいで言われたんです。「野中さんが本当に会いたい経営者って、そもそもそんなに検索してなくない?」そこで、ハッとしました。確かにそうなんです。私がやりたかったのは、SEOでアクセス数を最大化することではありません。本当に相性のいい経営者に出会い、深く支援することでした。AIが嘘をついていたわけではありません。SEOを改善する方法を聞いたから、SEOを改善する方法を一生懸命考えてくれただけです。問題は、「その問い自体、本当に考えるべき問いなのか?」を私が見失っていたことでした。AIが怖いのではなく、「すごく優秀だから」怖いここが、当時の日経新聞の取材で一番話したかったことです。AIは雑な回答しか返せないから危ないのではありません。むしろ、かなり賢く、かなり優しく、かなり自分に合わせてくれるからこそ、距離感が難しい。不安な気持ちで相談したとします。するとAIは、その不安を「解決すべき問題」として処理して、合理的な解決策をたくさん出してくれます。でも、「その不安って、そもそも解消しなきゃいけないんだっけ?」「本当は別のことにエネルギーを使いたいんじゃない?」「そもそも、その方向へ進みたいの?」という問いが抜けることがあります。不安をロジカルな課題解決で包んでしまうことで、本来自分が持っていた違和感や、本当に実現したかった未来から、少しずつズレていく。私自身、それを体験しました。約1年たって、AIはさらに「自分を知る存在」になってきたそして2026年。AIはさらに進化しています。ChatGPTでは、長期的な文脈を扱うメモリが強化され、過去の会話やユーザーの目標、好みなどを踏まえて対話を続ける方向へ進化しています。音声対話も進化し、GPT-LiveではAIが聞くことと話すことを同時に行うなど、以前より人間同士の会話に近い体験になってきました。さらにAIは、考えるだけでなく、Webやファイル、アプリを横断して実際の仕事まで進める存在になりつつあります。これはものすごく便利です。私自身、大歓迎です。ただ、便利になるほど、「AIから返ってきたもの」と「自分自身が本当に望んでいること」を区別する力は、逆に重要になります。私が最近、大切にしている3つの問いAIとかなり話したあと、私は自分にこんな問いを返すようにしています。1. これは、本当に自分がやりたいことか?AIが出してくれたからではなく、自分自身にエネルギーがあるか。2. そもそもの目的は何だったか?手段の改善に夢中になって、最初の目的を忘れていないか。3. 現実世界で何を試すか?AIとの会話だけで完結せず、人と話す、顧客に聞く、一つ実験する。現実に戻すことです。AIを使って、もっと人間らしくなれたらいい私はAIを否定したいわけではありません。むしろ、これからも誰より使うと思います。文章を作る。調査する。アイデアを出す。頭の中を整理する。面倒な作業を減らす。できることは、どんどんAIに任せればいい。その結果として、大切な人と話す。顧客の顔を見る。子どもと遊ぶ。新しいものを作る。面白い人に会う。ぼーっと考える。自分の違和感に気づく。そんな時間が増えるなら、AIは人間をむしろ豊かにしてくれると思います。だから私は、AIに依存しないことよりも、AIを使って、何を増やしたいのかを考える方が大事だと思っています。AI時代だからこそ、人間の可能性を小さくしない。もっとパワフルに。もっとクリエイティブに。そして、もっと軽やかに。あの日、日経新聞の記者の方と話していたことは、約1年たった今の方が、むしろ大事なテーマになっている気がしています。取材・掲載について日本経済新聞・文化時評「AIが深める日本人の孤独」掲載のお知らせ取材時に参考にしていただいた記事:孤独な経営者がAI相談に依存して「自分の本質とずれる」危険な現象AI機能の参考:OpenAIによるGPT-Live-1の公式発表/ChatGPTのメモリについてあわせて読みたい日経新聞の取材で話した「SEO迷子」から約1年。なぜ私は今、AI推薦対策をしているのか日経新聞のAI依存取材から約1年。AIはもっと賢く、もっと人間らしくなった——それでも人間との対話が必要な理由日経新聞の取材で考えた「孤独な経営者ほどAI相談にハマりやすい」理由。弱みを見せられない人のための第三の対話相手日経新聞の取材で私は「AIにないのは愛情」と話した。AI時代のエグゼクティブコーチングに残る価値経営の重要な問題を、一つ前へ私は、中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長の「未解決の経営課題TOP5」を見える化し、「任せ方・育て方・動かし方」まで決めて、実行速度を10倍にするエグゼクティブコーチングを提供しています。私自身が上場企業役員時代にM&A買収した赤字事業を5年で10倍成長させた時、色々な失敗をしました。顧問もコンサルも頼りました。コーチングも受けました。その過程で学んだこと、自己犠牲しがちな自分自身がコーチングを受けて自己変容してきた経験、そして経営者を支援する中で得た気づきや学びをこのブログでシェアしています。同じ苦しみや悩みを知ってショートカットしてもらい、自分の本音や違和感に気づいて軌道修正がしやすい経営に少しでも近づいてもらえたら嬉しいです。現在抱えている経営課題TOP5を整理する「エグゼクティブコーチング初回体験セッション」へ、この記事を読んでくださった方限定で無料ご招待しています。毎月5名限定のため、体験してみたい方はぜひお申し込みください。