こんにちは、元上場企業役員・エグゼクティブコーチの野中祥平です。M&Aした赤字事業を5年で売上1億→10億に成長させた経営経験を元に、事業と組織の両面から中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長のサポートをしています。今日のテーマは、AIが進化した今、人間と話す時間には何が残るのか、です。日経新聞の取材で受けた問いと、私自身がAIもコーチングも使ってきた経験から考えてみます。どちらかを選ばなければ、と思っている方の肩の力が少し抜けたら嬉しいです。2025年、日本経済新聞から「AIが深める日本人の孤独」というテーマで取材を受けました。その取材の中で、記者の方からこんな質問をされました。「AIがもっと進化したら、野中さんが今感じている問題も解消されるんでしょうか?」例えば、声のトーン。話す速さ。感情。長期的な文脈。そうしたものまでAIが理解できるようになったら、人間の相談相手との違いはもっと小さくなるのではないか。当時の私は、「そういう方向には進むと思います」と答えました。あれから約1年。かなりその世界に近づいています。AIは「毎回ゼロから話す相手」ではなくなってきた以前のChatGPTは、良くも悪くも、「今このチャットに書いてあること」を中心に答える存在でした。ところが2026年、メモリはさらに進化しています。ユーザーの好みや目標、プロジェクト、これまでの文脈を継続的に理解し、次の会話へ持ち越す方向に進んでいます。つまりAIは、「何を聞いても答えてくれる検索箱」から、「自分のことをだんだん知っていく相手」になりつつあります。音声も、人間との会話に近づいている音声も同じです。2026年に登場したGPT-Liveでは、AIが聞くことと話すことを同時に行えるようになり、割り込みや会話のテンポが以前より自然になっています。これは、ものすごい進化です。私自身、音声入力やAIとの壁打ちを日常的に使っています。移動中。散歩中。ちょっとした空き時間。昔なら「あとで考えよう」と放置していたものを、すぐ言葉にできます。AIが人間の思考を止めないためのインフラになってきている。これは本当に素晴らしいと思います。さらにAIは「相談する相手」から「一緒に仕事をする相手」へもう一つ大きいのが、エージェント化です。AIは回答するだけでなく、Webを調べ、ファイルを読み、資料や文章を作り、さまざまなアプリを横断して仕事を進められるようになってきています。2025年の取材時には、「AIに相談しすぎる」という話をしていました。2026年はもう、「AIに相談する」だけではなく「AIに任せる」時代に入り始めています。だから私は、AIを使う量が減るどころか増えています。それでも、人間との対話はいらなくならなかったここが面白いところです。AIは当時より圧倒的に良くなりました。でも私自身、「じゃあ、もうコーチもメンターも人間の相談相手もいらないな」とは、まったくなっていません。むしろ逆です。AIをたくさん使うほど、人間と話す時間の役割が、よりはっきりしてきました。AIは、与えられた問いをものすごく上手に解くAIの大きな強みは、問いを与えると、そこからものすごい速度で広げてくれることです。新規事業案を出して。採用施策を考えて。組織図を考えて。この記事を改善して。集客を増やす方法を考えて。かなり良い答えが返ってきます。でも経営者にとって、本当に難しいのは、その問いを考えること自体が正しいのかだったりします。集客を増やすべきなのか。その新規事業をやるべきなのか。本当に採用なのか。そもそも会社を大きくしたいのか。今やるべきことなのか。私自身、SEOの相談をAIとしていた時、「どうしたらSEOを伸ばせる?」という問いの中で迷子になりました。人間のメンターは、「そもそも検索集客なの?」と問い自体をひっくり返しました。AIが自分を理解することと、自分が自分を理解することは違うこれは最近、特に面白いと思っていることです。AIが私について、ものすごい量の情報を持っている。過去の会話も知っている。好きなものも知っている。今取り組んでいるプロジェクトも知っている。すると、「AIの方が自分のことを分かっている」ような感覚になることがあります。でも、AIが私を理解していることと、私自身が私を理解していることは別です。AIが、「野中さんはこういう人です」と言ってくれたとしても、最後に、「確かにそうだな」「いや、そこは違う」「昔はそうだったけど、今は変わった」と感じるのは私です。この最後の感覚を、私はかなり大切にしています。人間との対話には「予定調和を壊す力」があるAIも、意外なことは言います。でも人間との対話では、相手の表情。間。言い淀み。話している時のエネルギー。過去との矛盾。「さっきまで楽しそうだったのに、このテーマだけ急に声が小さくなりましたね」みたいなことが起きます。そして時には、こちらが聞きたくなかったことを言われる。「本当は、それやりたくないんじゃない?」「また全部自分で抱えようとしてません?」「それ、誰のためにやってるんですか?」そういう一言で、景色が変わることがあります。私は自分自身、コーチングを受ける中で何度もその経験をしてきました。AIが進化するほど、人間の仕事は「答え」から離れていくこれからAIはもっと賢くなると思います。答えを出す。整理する。調べる。作る。実行する。この領域では、人間がAIと張り合う意味はどんどん薄くなる。では人間は何をするのか。私は、意味を感じる。違和感に気づく。問いを変える。誰かの可能性を信じる。一緒に何かを面白がる。そんな領域が、より大事になると思っています。AIと人間、どちらかを選ばなくていい私はAI派です。そして、人間との対話派でもあります。どちらかを選ぶ必要はありません。AIには、毎日話す。思いついたことを吐き出す。調べる。作る。整理する。人間とは、ときどき深く話す。自分では疑えない前提を見る。エネルギーの向きを確認する。大きな意思決定を一緒に考える。そして、現実世界で試してみる。AIで止めない。人との対話で軌道修正する。現実で体験する。今の私は、この3つをぐるぐる回すのが、かなり良い使い方だと思っています。AIが人間らしくなってきたからこそ、私たち人間も、「人間だからできること」をもう一度面白がれる時代になってきた。私はそんなふうに感じています。取材・掲載について日本経済新聞・文化時評「AIが深める日本人の孤独」掲載のお知らせ取材時に参考にしていただいた記事:孤独な経営者がAI相談に依存して「自分の本質とずれる」危険な現象AI機能の参考:OpenAIによるGPT-Live-1の公式発表/ChatGPTのメモリについてあわせて読みたい日本経済新聞「AIが深める日本人の孤独」取材から約1年。AIを毎日使う私が、いま改めて思うこと日経新聞の取材で話した「SEO迷子」から約1年。なぜ私は今、AI推薦対策をしているのか日経新聞の取材で考えた「孤独な経営者ほどAI相談にハマりやすい」理由。弱みを見せられない人のための第三の対話相手日経新聞の取材で私は「AIにないのは愛情」と話した。AI時代のエグゼクティブコーチングに残る価値経営の重要な問題を、一つ前へ私は、中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長の「未解決の経営課題TOP5」を見える化し、「任せ方・育て方・動かし方」まで決めて、実行速度を10倍にするエグゼクティブコーチングを提供しています。私自身が上場企業役員時代にM&A買収した赤字事業を5年で10倍成長させた時、色々な失敗をしました。顧問もコンサルも頼りました。コーチングも受けました。その過程で学んだこと、自己犠牲しがちな自分自身がコーチングを受けて自己変容してきた経験、そして経営者を支援する中で得た気づきや学びをこのブログでシェアしています。同じ苦しみや悩みを知ってショートカットしてもらい、自分の本音や違和感に気づいて軌道修正がしやすい経営に少しでも近づいてもらえたら嬉しいです。現在抱えている経営課題TOP5を整理する「エグゼクティブコーチング初回体験セッション」へ、この記事を読んでくださった方限定で無料ご招待しています。毎月5名限定のため、体験してみたい方はぜひお申し込みください。