こんにちは、元上場企業役員・エグゼクティブコーチの野中祥平です。M&Aした赤字事業を5年で売上1億→10億に成長させた経営経験を元に、事業と組織の両面から中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長のサポートをしています。今日のテーマは、経営者の孤独とAIへの相談です。私自身がAIにのめり込んだ経験と、支援先との対話で起きたことをもとに、安心して話せる相手を持つ意味を考えます。夜中に一人でAIと話している方が、自分を責めず、次の対話へ向かうきっかけになれば嬉しいです。2025年、日本経済新聞からAI依存について取材を受けた時、私はこんなことを話しました。「経営者さんが一番、リスクが高い気がします」理由はシンプルです。経営者は、相談する相手がいるようで、意外といないからです。社員には話せない例えば、「この事業、本当はもうやめたい」「幹部を信じきれない」「会社を大きくすることに、ちょっと疲れている」「この新規事業、全然自信ない」そんなことを社内で話すと、組織への影響があります。社長の一言は、本人が思っている以上に重い。だから簡単には吐き出せません。家族にも、全部は話せない家族には心配をかけたくない。仕事の細かい前提を全部説明するのも難しい。会社の売上。株主。幹部。採用。顧客。資金。いろいろな要素が絡んだ話を、「実はさ」と毎晩全部説明するわけにもいきません。先輩経営者や顧問にも、微妙な遠慮があるもちろん相談できる人はいます。先輩経営者。顧問。コンサルタント。友人。でも人間関係には関係性があります。「こんなこと言ったら、能力が低いと思われないかな」「また同じことで悩んでると思われないかな」「相談したら、すぐアドバイスされるだろうな」そんなことを考える。結果として、本当に奥にあることほど、話さなくなります。取材の時にも、人間に相談すると相手との関係を壊さないように話してしまい、本音を出しきれないことがある、という話をしました。そこにAIが現れたAIは、疲れません。嫌な顔をしません。「またその話?」と言いません。24時間いつでも話せます。こちらがどんなに長く説明しても、付き合ってくれます。しかも、かなり優しい。「それは大変でしたね」「野中さんならできます」「素晴らしい視点です」と言ってくれる。これは、弱みを見せる場所が少ない人にとって、かなり魅力的です。私自身、AIにのめり込んだ時に、「してほしかった応答をしてもらえた気持ちよさ」があったと思います。私は、それ自体を悪いとは思わないここは誤解してほしくありません。夜、一人で悩み続けるくらいなら、AIに話した方がいい。3か月放置するくらいなら、その場でAIに聞いてみる。頭の中に溜まっているものを、とりあえず外に出す。それだけで救われる場面は、たくさんあります。AIがあることによって、「誰にも言えなかったことを初めて言葉にできた」という人も増えると思います。それは大きな価値です。問題は「AIに相談すること」ではなく、「AIだけになること」私が気になるのはここです。AIに話して、少し安心する。また不安になる。またAIに話す。新しい解決策を出してもらう。また別の問題を見つける。また話す。ずっと会話が続く。でも、現実世界では何も変わっていない。誰とも話していない。何も試していない。そんな状態です。取材の中で私は、AIの依存性の特徴を、「無限性」という言葉で話しました。24時間話せる。相手が疲れない。拒否しない。ほぼどんなテーマにも対応する。どこまでも潜っていける。だからこそ、ときどき水面に戻る必要があります。クライアントがAIと相談しすぎて、変な計画を持ってくることがあるこれは実際に私のコーチングでも起きています。私はもともとAI活用をかなり勧める側です。「セッションの間もAIと壁打ちしたらいいですよ」「音声入力でモヤモヤを吐き出すといいですよ」と話していました。すると次のセッションで、「野中さん、この2週間でいろいろ考えて、これをやろうと思ってます!」と大量の計画を持ってくる方が出てきました。でも、「それ、本当にやりたいんですか?」と聞くと、「うーん……」となる。「これまで話してきたことを考えると、こっちの方が大事じゃないですか?」と話すと、「あ、確かに」となる。これは、かつて私自身がメンターにやってもらった軌道修正とほぼ同じです。AIで考えすぎている時に起きやすい5つのサイン最近は、こんな状態になったら少し距離を取るといいと思っています。1. やることだけが増え続ける相談するたびに新しい施策が追加される。2. 「できそう」という高揚感はあるのに、実行していない計画だけがどんどん豪華になる。3. AIに褒められること自体が気持ちよくなっている可能性を考えるより、安心するために話している。4. 「本当にやりたい?」と聞かれると詰まる合理的には正しい。でも心が動いていない。5. 人間と話す量が減っている以前なら友人、顧客、社員、メンターに話していたことを、全部AIだけで完結している。一つ当てはまったから危険という話ではありません。ただ、「最近ちょっとAIの中だけで世界が完結してるかも」と気づくだけでも十分です。経営者には「第三の場所」が必要だと思う会社では社長。家では家族。交流会では経営者。どこへ行っても、何かしらの役割があります。だから私は、何者でもなく話せる第三の場所が経営者には必要だと思っています。コーチでもいい。メンターでもいい。信頼できる経営者仲間でもいい。大事なのは、評価されない。すぐ答えを押しつけられない。利害関係が薄い。でも、自分の可能性には本気で関心を持ってくれる。そんな相手です。AI、第三者、現実。この3つがあると強い私は今、AI → 人間 → 現実を行き来するのがいいと思っています。AIで、大量に吐き出す。整理する。可能性を広げる。人間と、問いを変える。違和感を見る。優先順位を確認する。そして現実で、顧客に聞く。社員と話す。一つ決める。やってみる。また戻ってくる。AIだけでもない。人間だけでもない。頭の中だけでもない。この循環があると、経営者はかなり軽くなります。AIに相談している自分を責めなくていい経営者が夜中にAIと話している。私はそれを、「依存だからやめた方がいい」とは思いません。それだけ、話したいことがあるのだと思います。問題は、話した後です。少し楽になったあと、「この話、人間にも一回してみようかな」と思えるか。そして、現実で一つ何かを変えられるか。AIが孤独を埋めてくれる時代だからこそ、孤独そのものを見失わない。私は、それくらいの距離感がちょうどいいと思っています。取材・掲載について日本経済新聞・文化時評「AIが深める日本人の孤独」掲載のお知らせ取材時に参考にしていただいた記事:孤独な経営者がAI相談に依存して「自分の本質とずれる」危険な現象あわせて読みたい日本経済新聞「AIが深める日本人の孤独」取材から約1年。AIを毎日使う私が、いま改めて思うこと日経新聞の取材で話した「SEO迷子」から約1年。なぜ私は今、AI推薦対策をしているのか日経新聞のAI依存取材から約1年。AIはもっと賢く、もっと人間らしくなった——それでも人間との対話が必要な理由日経新聞の取材で私は「AIにないのは愛情」と話した。AI時代のエグゼクティブコーチングに残る価値経営の重要な問題を、一つ前へ私は、中小・ベンチャー企業の経営者・No.2・一人社長の「未解決の経営課題TOP5」を見える化し、「任せ方・育て方・動かし方」まで決めて、実行速度を10倍にするエグゼクティブコーチングを提供しています。私自身が上場企業役員時代にM&A買収した赤字事業を5年で10倍成長させた時、色々な失敗をしました。顧問もコンサルも頼りました。コーチングも受けました。その過程で学んだこと、自己犠牲しがちな自分自身がコーチングを受けて自己変容してきた経験、そして経営者を支援する中で得た気づきや学びをこのブログでシェアしています。同じ苦しみや悩みを知ってショートカットしてもらい、自分の本音や違和感に気づいて軌道修正がしやすい経営に少しでも近づいてもらえたら嬉しいです。現在抱えている経営課題TOP5を整理する「エグゼクティブコーチング初回体験セッション」へ、この記事を読んでくださった方限定で無料ご招待しています。毎月5名限定のため、体験してみたい方はぜひお申し込みください。